ドイツ語の発音、複母音・複子音など
ドイツ語の発音、複母音・複子音など
発音が長母音化するつづり
基本編の最後で母音の長短を説明しましたが、それとは別に長母音化するつづりがあります。まずアルファベットのh。母音の直後に来た場合、自身は無声のまま、その母音を長音化させます。Jahr(ヤール/年)やgehen(ゲーエン/行く)などがその例です。
それから重母音、つまりaaのような同一の母音の連続も、Tee(テー/お茶)やHaar(ハール/髪)のように、長く伸ばして発音します。
もう一つ、ieは以下で紹介する複母音の一つで、読みは「イエ」ではなく「イー」。Liebe(リーベ/愛)のように、ひとまとまりの長母音として読んでください。
ひとまとまりとして読むつづり
複数組み合わさって一まとまりの発音をなす母音および子音を、複母音・複子音と呼びます。その読み方には注意が必要です。 まず複母音ですが、äuとeuは、上のように共に「オイ」と発音します。ただしMu/se/um(ムゼーウム/博物館)のように、eの後で音節が切れるような場合は、複母音としての読みになりません。eiの発音は「エイ」ではなく、「アイ」。物理学者アインシュタイン(Einstein)の名を、「エインシュテイン」などと読まないように。 複子音で特に注目すべきはchの発音。
ich(イッヒ)のように基本的には「ヒ」と読み、母音が続く場合もKüche(キュッヒェ)のようにヒャ行の発音となるのですが、母音a(アー)、o(オー)、u(ウー)の次に来る場合のみ、発音を異にします。
その場合は、口の形はそのままで、喉から(声ではなく)息を出してください。結果として、ach(アッハ)、och(オッホ)、uch(ウッフ)といった響きとなるはずです。Nacht(ナハト)やdoch(ドッホ)のchは、そうした喉音に当たります。
それから気をつけたいのが、pfの発音。
「プフ」と読みを当てていますが、実際はpとfを同時に発音する感じです。fの「フ」発音時のように上の歯で下唇を軽く噛み、そのまま弾くように「プ」を発音するイメージで。
もう一つ、quの発音も、複母音・複子音のように一つのまとまりとして覚えておきましょう。
Qualität(クヴァリテート/質)、bequem(ベクヴェーム/快適な)のように、常に一まとまりで[kv]として発音されます。
「頭は柔らか、お尻は濁らず」
続いて語頭や語尾に来た場合に、特殊な読みをするつづりです。 語頭で注意すべき読みは、sp(シュプ)とst(シュト)。versprechen(フェアシュプレッヒェン/約束する)、bestellen(ベシュテレン/注文する)など、土台となっている語の語頭にあってもやはり同様の読みとなります。
b 、d、gは語尾に来ると濁らず、p、t、kのように発音されます。ただしこれもHerbst(ヘルプスト/秋)のように、語尾で無くとも同様に読む場合も。
強勢を置かれないerが語尾に来ると、「アー」と伸ばす音になります。哲学者Schopenhauerの読み名も、やはり一般には「ショーペンハウエル」より「ショーペンハウアー」とされるべきでしょう。
響きで分かる外来語
ドイツ語の語彙には特にギリシア語にラテン語、フランス語や英語からの外来語が色々とあり、いずれも読みに注意が必要です。 Chance(シャーンス)、Friseur(フリゼーア)、Genie(ジェニー)、Journalist(ジュルナリスト)等は、フランス語からの外来語。読みも同語にならいます。ほかにもRestaurant(レストラーン/レストラン)等、同語特有の発音・強勢規則で読む外来語は少なくありません。ドイツ語学習者はフランス語の発音の基礎もあわせて学んでおくことをお勧めします。Charakter(カラクター)、Photo(フォート)、Rhythmus(リュトムス)、Theorie(テオリー)といったギリシア語、あるいはNation(ナツィオーン)やUniversität(ウニヴェルズィテート)といったラテン語由来の外来語についても、その特有の読みに馴染んでおく必要があります。またギリシア語由来のyの発音はドイツ語のüと同じで、子音でありながらLyrikのように強勢も置かれます。
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