参議院議員としての活動
——そうして5月23日、正式に日本初のセクシュアルマイノリティの国会議員になったわけですが、5月29日にはさっそく沖縄及び北方問題に関する特別委員会で質問してましたね。議員になってから質問するまでの最短記録なんじゃないかという話を聞きました。
——朝日新聞にも取り上げられてましたが、沖縄のゲイのHIV予防について質問して、山本一太大臣から「正直に申し上げて知らなかった。勉強させていただきたい」との答弁を引き出したとか。
そうなんです。取り上げていただけてうれしいです。
——国会に当事者の議員がいるということは、そういうことなんだな、と。すぐには変わらないかもしれないけど、ダイレクトに僕らの要望が届けられるんだなと思いました。
まず、国会議員は私が初めてですが、上川あやさんがいて、この前の選挙で石川大我さんや石坂わたるさんも通った。そうやって切り開いてきた方がいるから、ここにたどり着けたのかな、と感じています。当事者じゃなくても他の議員さんでも取り上げてくださる方もいるのですが、当事者だからこそ優先順位を上げてやることができるということは言えると思います。ただ、法案などは多くの理解者の議員さんたちがいて、通過するものですから、味方を増やす努力という部分も頑張りたいです。私自身は、国会の中に目に見える存在としてあることの意味があるのかなと思っています。前の方の席なのですが、前に首相とか大臣が並んでいて、そういう方々の視野に映ってると思うので、そういうプレゼンスがあるんじゃないかと。
——短い任期かもしれませんが、これからどういう活動をしていこうとお考えですか?
まずは職責を果たしていきたい。まず、国会質問の機会をもらえましたし、次につながるような活動をしていきたい。いろんなことを勉強できる機会があるので。国会の仕組みとか流れ。人的関係を結んでいくこと。経験を積んで、実力をつけていきたい。今は初のセクシュアルマイノリティの議員ということで注目されていますが、次は実力のある議員として存在感を示せるようになりたいです。
——日本のバーニー・フランク(※1)めざして。
個人的にはタミー・ボールドウィン(※2)がいいかな(笑)。あとは、何回質問できるかわからないけど、投げられることを投げようと思ってます。今日も院内で「憲法13条を考える会」という勉強会があって、憲法学の権威である東大名誉教授の樋口陽一さんがお話されたんですが、「フランスで同性婚が認められましたが、憲法第13条(幸福追求権)と第24条(両性の平等)に鑑みて、日本での結婚の平等の実現についてどう思いますか?」という質問を投げてみました。地味なことですが、やりがいがあります。
——たくさんの議員が参加する勉強会の場で同性婚について触れることができたという意義があるわけですね。
有識者の方に直接質問できて、意見を聞ける。そういう機会を活かしていきたい。今の話で言うと、あとで樋口先生からお手紙で「勉強会での答えが不十分だったので」と補足のご意見まで頂戴しました。改憲議論がある中で同性パートナーの議論なども挟みこむ余地があることを実感しました。
※1バーニー・フランク:元米下院金融委員長。昨年の引退まで32年間、連邦下院議員を務めました。2010年の『OUT』誌が選ぶ「最も影響力を持つゲイ50人」の第1位。2012年には現職の国会議員として初めて同性婚しました。
※2タミー・ボールドウィン:昨年の米大統領選の際、オープンリー・レズビアンとして初の米連邦上院議員に当選した方。