セクシュアルマイノリティ・同性愛/ゲイシーン

日本初の同性愛者であることを公にした国会議員が誕生(3ページ目)

5月23日、日本初の同性愛者であることを公にした国会議員が誕生しました。元大阪府議でレズビアンであることをカミングアウトした尾辻かな子さんは2007年、参院選全国比例区にチャレンジするも、惜しくも当選には届かず……だったのが、約6年の時を経て繰り上げ当選したのです。今回は「プライド月間」にふさわしく、尾辻かな子参議院議員へのインタビューをお届けします。

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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地道な6年間

二丁目選挙事務所

2007年の選挙の時は、二丁目の事務所でたくさんの方たちといっしょに朝まで開票結果を見守り、涙を飲みました…今、応援してくださったすべてのみなさんと、喜びを分かち合いたい気持ちです。

——でも、あの落選のあと、もしかしたら政治家への道をあきらめるという選択肢もありえたと思うのですが……どういう気持ちでがんばっていたんですか? この6年間のことを教えていただけたらと思います。

正直、私自身も失意の日々っていうのがあって。本当に自分が社会を変えられるのかと自問自答して、政治への情熱を持てなかった時期もあったんです。選挙って人もいっぱい動いてくださるし、費用もかかるんですが、選挙でお金を使い果たしてしまった。それで、とりあえず働こうということで、選対本部長をしていた方の紹介で校正の会社で仕事を始めて、2年くらいやりました。そしたら、地元の神戸で議員をやってる方が秘書をしないかと声をかけてくださった。そうやって誘ってもらえたことがうれしかったので、自分の経験が役に立つならと。それが、3年前の参議院議員選挙のとき。

——3年前の参議院選挙の時は、もう尾辻さん出ないのかな……という声も聞かれましたが、選挙のお手伝いをされてたんですね。

それで、地元で一人一人に支持をお願いするようないわゆる地道な選挙活動をやってたんですが、私の担当の神戸の長田区とか兵庫区は震災で街も変わって、高齢の方がすごく多くて。それで高齢者の方の抱える問題に触れて、選挙の後、秘書はやめたんですが、ヘルパー2級の資格をとろうと勉強しはじめて、それだけでは物足りなくなってきて、近所の介護施設で働きはじめました。そこから実際の介護現場のいろんな問題とか課題が見えてきたし、高齢者のくらしを支えているっていうことにものすごくやりがいを感じて、さらに社会福祉士の資格をとることにして、もうちょっとで管理者的な立場になるというところで、野田さんの衆議院解散があって、府議時代に応援してくれていた方が、実は引退する人がいるんだよというお話をくださって。それが11月半ば。選挙は12月4日から始まる。すぐですよ。でも、そのとき思ったのは、政権与党だった民主党の小選挙区に、同性愛者の私を候補者として考えてくれるってスゴイなということ。こんな時代が来たんだと。6年前は全国比例というフィールドでしたから。

——2007年の参院選は、公認をとるのも大変でしたよね。

そうです。それが、衆議院の1人区の党の代表で出してくれるというところまで来た。これは変化のひとつだと思いました。それで、自分にもまだやれることがあるんじゃないかって奮起して、選挙をやらせていただききました。

——でもそれは、大阪府議の時代からの尾辻さんの議員としての力量や資質を知ってて、信頼して預けてくださったのでは?

ありがたいですよね。でも、また勝てなかったので、2回負けた……と。そうしたらいきなり当選が降ってきた。
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