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知らないと大損!小規模宅地等の特例の改正(2ページ目)

相続資産で大きなウエイトを占める自宅宅地。立地条件の良い都市部の場合、相続税がドーンとかかりそう……。それを軽減する「小規模宅地等の特例」の適用要件が、平成25年度の税制改正で拡大されそうです。家を取得する前に知っておかないと、後で泣くことに。要チェックです!

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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配偶者は無条件に「小規模宅地等の特例」が適用される

同居・別居に関わらず配偶者は「小規模宅地等の特例」が適用される

同居・別居に関わらず配偶者は「小規模宅地等の特例」が適用される

小規模宅地等の特例は、死亡した人の居住用宅地(自宅敷地)を、一定の要件を満たす人が相続する場合には、一定規模の土地の相続税評価額を80%減額する、例えば1億円の評価額の土地は2000万円と評価して相続税の計算をする、というものです。

平成25年5月時点でこの特例の適用を受けることができる主な相続人は、
  • 配偶者(同居・別居を問わない)
  • 同居している親族
  • 配偶者や同居親族がいない場合は、3年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有する家屋に居住したことがない――簡単に言うと3年以上賃貸住宅に住んでいる――別居している親族
です。なお、「同居している子」でも、玄関が別で家の中で行き来が全くできない完全独立型の二世帯住宅の場合は対象外です。

有料老人ホームはこの特例の適用外?

高齢者の場合、入院や介護施設に入居していて実家が空き家になった状態で死亡することもありえます。この場合にも、小規模宅地等の特例の適用には厳しい線引きがあります。

例えば被相続人が老人ホームに入所していた場合、特例の適用を受けるには、次の5つの要件を満たしていなければいけません。
  1. 介護を必要とするために入所
  2. 自宅を賃貸等に利用していない
  3. 老人ホームの所有権が被相続人または親族によって取得されていない
  4. 老人ホームの終身利用権が取得されていない
  5. 被相続人がいつ戻ってきてもいいように自宅が維持管理されている

したがって、終身利用権付きの有料老人ホームに入所している場合は、特例は受けられません。では、特別養護老人ホームに入所している場合は? 特別養護老人ホームは、介護を必要とする人が入所する施設で終身利用権や所有権はありませんので、「自宅を賃貸等に利用していない、自宅を維持管理している」を満たしていれば、特例の適用を受けることができます。

このように、小規模宅地等の特例の適用要件は非常に厳しく、子が相続する場合には適用外となることが少なくありません。また、介護を受けるために施設に入居したのに、施設によって適用が異なるのはおかしい、という声が非常に強くあがっています。平成25年度の税制改正は、これらの問題に応える改正と言えるでしょう。

改正の内容と適用日については次ページで解説>>>

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