今回の記事では、一般的に語られることのない、基準点以外に司法書士試験に存在する「消化試合」というものをご説明します。前回の記事でご説明しました基準点が元になる話ですので、お読みでない方はお先に前回の記事をお読み頂ければ幸いです。
「消化試合」とは?
実は、司法書士試験には「消化試合」というものが存在します。具体例でご説明します。たとえば、昨年度の平成24年度司法書士試験において、次の点数は消化試合でした。
1. 午前択一:34~35問/35問
2. 午後択一:32~35問/35問
3. 記述:53.5~70点/70点
この点数は、合否には絶対に影響しない点数です。よって、消化試合と言えます。
その理論をご説明していきます。
「消化試合」が生まれる理論
まず、以下の情報をご覧下さい。【基準点】
1. 午前択一 28問(84点)
2. 午後択一 26問(78点)
3. 記述 38.0点
【基準点の合計点】
200点(上記1~3の合計点)
【合格点】
215点
これは、平成24年度司法書士試験の基準点、基準点の合計点及び合格点です。
合格するためには、1~3の要件はすべて満たす必要があります。逆に言えば、合格者で1~3の要件を満たしていない方は一人もいません。ということは、合格するために最低限必要な要件を満たした(すべての基準点以上の点数を取った)時点で、持ち点200点はあるわけです。
それにプラスする必要があるのは、15点(215点―200点)です。これが、平成24年度における上乗せ点です(「上乗せ点」とは、合格点から基準点の合計点を引いた点数です)。
15点上乗せしなければなりません。逆に言えば、15点上乗せすれば、それを超える点数は合否には全く影響がありません。すると、基準点を取った上で、次のいずれかを満たせば、合格が決定します。
1. 午前択一:33問正解(28問から5問分(15点分)上乗せ)
2. 午後択一:31問正解(26問から5問分(15点分)上乗せ)
3. 記述:53.0点(15.0点分上乗せ)
ここから、冒頭で表示した次の消化試合が導き出されます。
1. 午前択一:34~35問
2. 午後択一:32~35問
3. 記述:53.5~70点
たとえば、午後で32問取っても合否には全く影響しません。31問取った段階で上乗せ点15点が取れていますので、合格が決定しています。前記3つの基準点はすべて満たさなければなりませんので、午後択一で32問以上必要であるということが、あり得ないのです。