マンション物件選びのポイント/マンションの間取り

4人家族に向く間取り(4ページ目)

少子化により、日本の1世帯あたりの平均人数は2.47人。以前は標準家族とされてきた4人家族の影はすっかり薄くなってしまいました。が、働き方改革や子育て支援制度により出生率回復を目指す日本です。そこで、今回は4人家族の復活を願い、夫婦+子供2人の4人家族に向く間取りについて考えます。(2018年改訂)

大久保 恭子

執筆者:大久保 恭子

これからの家族と住まいガイド

「成人」しても同居ならシェアハウス的3LDK

冒頭で、4人家族の時期はせいぜい10年程度と述べましたが、最近は大学を卒業し、社会人になっても親と同居する子供が増えています。この時期になると、子供といっても一人の独立した個人。いつまでも親に甘えるのではなく、お互い助け合い、配慮しあって毎日を気分よく暮らしたいもの。そして、つかず離れずの仲ながら、たまには一緒に食事をしながら、近況を報告しあったり、興味のある本や映画、TVを話題にしながら親子の団欒を楽しみたいものです。

そのためには、小さいながらも各自が個室を確保しつつ、キッチンとリビング・ダイニングをコミュニケーションスペースと見なす、シェアハウス的な暮らしができる間取り図2の3LDKが適しているのではないでしょうか。

更に子のうち1人は自立し、残った子が社会人となって親と同居しているとします。

その場合、もともとダイニングに隣接していた洋室(3)4畳の子供部屋の引き戸をなくして、リビング・ダイニングに広げ、2LDKとします。できれば、キッチンを完全なオープンカウンター式にリフォームし、LDKをひとつの空間にし、コミュニケーションスペースと位置づけます。

ウィークデイは各自がバラバラな時間に食事をしますが、皆があつまる機会の多い、日曜日のブランチや夕食は、互いが好きなモノを調理し、分け合って食べる団らんの場としてはいかがでしょうか。

あるいは、洋室(3)4畳を夫の書斎、妻のい趣味の部屋へと転用することもできます。
こうして見てくると4人家族に適した間取りは3LDKということが分かってきます。3LDKを基本にすると、子供の減少などに対応して使わなくなった部屋を他の目的(たとえば書斎)に転用したり、2LDKへ部屋数を減らし、その分LDKを広くしたりといった、変化がつけられるのです。

そしていずれはこの3人家族期も終わり、長い夫婦2人期が始まります。これまでの間取りを2人期にふさわしいものに変えるとどうなるでしょうか?

夫婦2人期は3LDKを1LDK、2LDKに変える

家族4人から夫婦2人になることを想定しよう

家族4人から夫婦2人になることを想定しよう

2人の暮らしに向く間取りは、1LDKもしくは2LDKでしょう。間取り図2を参考にして見ていきましょう。

洋室(1)の主寝室以外に洋室(2)を趣味の部屋や書斎にして、ゆとりある暮らしを楽しんでみてはいかがでしょうか? 子育てから解放され、自分のための暮らしを始めるきっかけづくりにもなります。

また、洋室(1) (2)を夫と妻それぞれの寝室にして、夫婦別室にすることもできます。いずれの場合も洋室(3)の引き戸は開放してリビング・ダイニングを開放的に使いましょう。

あるいは、思い切って洋室(2)、洋室(3)をLDKに組み込み1LDKにするとも可能です。一挙にLDKは20.8畳となり、趣味やお客様を招いての食事会が楽しめる住まいへと大変身します。

家族の変化に柔軟に対応する「スケルトン・インフィル」

4人→3人→2人→1人という家族の変化に柔軟に対応できるのは、間仕切り変更がしやすい、可変性の高い間取り、とたびたび述べてきました。間取り2のような引き戸の開閉で簡便に間仕切りを変更することもできますが、水回りの位置まで変えてしまうといった大胆な変更には限界があります。

そこで、ご紹介したいのが、究極の可変性といえる「スケルトン・インフィル」です。
これは、建物の構造躯体部分(スケルトン)と内装部分(インフィル)を分離してメンテナンスや水回りの移動を伴うおおがかりなリフォームの工事がしやすく、かつ費用も抑えられるように建物を造ることをいいます。マンション、一戸建てを問わず、「長期優良住宅」に認定されていれば、スケルトン・インフィルの要件を満たしています。

「長期優良住宅」をひとつの目印に、家族の変化に柔軟に対応できる住まいを選んでみてはいかがでしょうか。
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