いじりを受ける「いじられキャラ」の子は強いストレスを抱えている
はっきり「いじめ」とも言い切れないような「いじり」の行為に、嫌な思いを抱えていませんか?
しかし、仲間内で一定の子だけがからかわれ、その子が笑いの種にされるような場合には、「いじられている」可能性があります。
いじる側は、誰かをからかったり馬鹿にしたりすることで、自分は優位だと感じることができます。本人は無意識でやっていることが多く、「冗談で言っているだけ」と思い込んでいます。
そして、いじられる側も「いじられキャラ」を演じることで、仲間内での「面白い子」として一定の存在感を示すことができます。しかし、心の中では「このキャラをやめたら、自分なんて見向きもされないだろう」といった不安を抱えているものです。
<目次>
「いじられキャラ」から脱出したい気持ちを我慢していると?
不安を押し殺したまま「いじられキャラ」を演じ続けていると、気づかぬうちにストレスが蓄積し、心身や行動に強い影響が現れてしまうことがあります。食欲がなくなり、眠りが浅くなり、体調も悪化して登校が困難になってしまうかもしれません。自分自身を傷つけたり、家族にイライラをぶつけたくなってしまうこともあるかもしれません。勉強に集中できず、落ち着きがなくなってしまうこともあるかもしれません。
だからこそ、少しでも「不快だ」「やめてほしい」と思うなら、その気持ちを伝えることが大切です。素直な気持ちを伝えるのは、とても勇気のいることでしょう。とはいえ、プライドが傷つくようなことをされ続けると、自尊心を保てなくなってしまいます。
「されたら嫌なこと」はいじめ! 「いじり」も「いじめ」の一つです
まず前提として、「いじめ」と「いじり」の本質は同じだということです。そもそも、次の3点が対等な人間関係を維持するための基本です。・互いを人として尊重すること
・相手の気持ちを察すること
・自分がされたら嫌なことはしないこと
いじられる側は仲間に気を遣うあまり、「不快だ」と本音を伝えることを我慢している可能性があります。そのため、いじられながらも笑い、自虐ネタでさらに笑いをとったりしているのかもしれません。しかし、いつもからかわれていると、心の傷は深くなってしまいます。
したがって周りの人は、いじられた本人が笑っているからといって喜んでいるわけではないと察する必要があります。
いじられキャラからの脱出法…「NO」を言える自分を!
そもそも友情は、フェアであるべきもの。したがって、仲間に気を遣って一定のキャラクターを演じ続ける義務などありません。「自分さえ我慢すれば仲間でいられる」と感じる場合、すでにフェアな関係ではないといえます。「自分に合わないキャラクターを無理に演じているのかもしれない」と思うなら、親や教師、カウンセラーなどの信頼できる大人に相談してみましょう。すると、自分の本当の気持ちに気づくことができるでしょうし、仲間に自分の気持ちを伝える方法をじっくり考えることができるかもしれません。
気持ちを伝えなければ、いじる側は「相手も喜んでいる」と思い込み、いじりがさらにエスカレートしてしまいます。「不快だ」「やめてほしい」という気持ちを聞くことで、仲間は自分の行為を振り返り、反省することができます。気持ちを伝えるタイミングは、信頼できる大人と一緒に考えていきましょう。
そのグループだけが居場所ではない。いくつかの活動拠点を持とう
また、「いじられキャラ」を演じなくても安心して過ごせる時間や、仲間以外の人たちとかかわれる場所を複数持つことも大切です。勉強、趣味、ボランティアなど、関心のあるテーマで楽しく話せる場所を増やしていきましょう。仲間関係は、フェアであることが前提です。「いじられキャラ」という役割を負わせている仲間とのかかわりは少なくし、自分らしくいられる場所、楽しい会話で人とつながれる場所を積極的に求めていくとよいでしょう。
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