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大学受験の文系・理系の選択どうする? 文理選択3つの注意点!

大学受験の文理選択について考えてみましょう。大学受験を意識して、数学が得意か不得意かだけで決めてしまいがちな文系か、理系かの選択。しかし、数学が得意でも文系を選ぶという選択肢もあります。また、理科の科目選択(物理、化学、生物)も、文理選択では非常に重要なポイント。

伊藤 敏雄

執筆者:伊藤 敏雄

学習・受験ガイド

大学受験の文系・理系の選択どうする?

高校生が大学受験のために悩む文系か理系かという選択。選択のポイントは数学だけでなく理科も。

高校生が大学受験のために悩む、文系か理系かの選択。選択のポイントは数学だけでなく理科も。

数学が得意だから理系、数学が苦手だから文系(国語が苦手だから理系という選択も同様)――それだけで文系、理系の選択をすればよいと思っている方は、ちょっと待ってください。大学受験を視野に入れた高校生の文理選択で、これだけは知っておきたい3つのポイントがあるのです。

<目次>  

大学受験の文系と理系の違いって?

文系と理系とでは、まず、勉強する科目が違います。

文系は、国語、地歴・公民、数学、理科基礎、英語の5教科(7科目)をまんべんなく学びます。一方、理系はこれに加え、数学は数III、理科は○○基礎の他に、発展科目として化学、生物、物理なども選択して学びます。

数学や理科など、勉強する科目の数は理系の方が少し多くなりますが、文系はその分、歴史(日本史、世界史)や公民(政治経済、倫理など)、古典などの科目を深く学ぶ必要があります。ですから、どちらが大変とは一概には言えません。

文系か理系かを選ぶポイントは、自分が好き、あるいは得意な教科・科目や、自分の進路に合っているかどうかで判断することです。

ところで、ガイドの私は文系か理系かというと、実は理系選択なのです。理工学部と法学部に同時に合格して、高校の先生を驚かせたことがあります。最終的には教育学部の心理学専攻に進学しましたが、このように理系であっても文系学部を受験することは可能です。

大切なことは「選択の幅を狭くしない」ということです。受験直前になって「行きたい大学(学部・学科)の中で、自分が勉強してきた科目で受験できる大学がほとんどない」なんてことにならないようにするためです。

くれぐれも「数学が嫌いだから文系を選ぶ」「国語が苦手だから理系を選ぶ」といった消極的な理由で文理選択をするのはやめましょう。理系に進んだけれど、数学も理科もよくわからず、最終的に文系の大学へ進学する、いわゆる文転(理系から文系へ転身する)する高校生も少なくありません。

これは、「英語や歴史・公民が苦手だから何となく理系かな」と安易に文理選択をした結果です。文系か理系かの賢い選び方は、自分の個性や適性をよく見極めることです。
 

1.文理選択で注意したい「学部・学科」

文系・理系と一言で言いますが、大学の学部や学科は、文系か理系かではっきりと分けられないものがあります。仮に、大学の学部・学科を大きく分けるとしたら、「人文科学系」「社会科学系」「生活学系」「理工農学系」「医歯薬学系」の5つに分けられるでしょう。

人文科学系
文学、外国語、言語、地理、歴史、哲学、宗教、心理、文化、人間科学、教育、美術、芸術、デザイン、音楽

社会科学系
法律、政治、経済、経営、商学、社会、環境、観光、マスコミ、国際関係、情報、メディア

生活学系
食物・栄養、被服、児童、生活科学、スポーツ・健康

理工農学系
数学、物理、化学、生物、地球科学、機械、航空・宇宙、電気・電子、情報工学、建築、土木・環境、材料、資源、農学、酪農、水産

医歯薬学系
医学、歯学、薬学、看護、保健・福祉、医療技術

もちろん、ここに挙げたのは、あくまでも一例に過ぎません。

5つの系統のうち、「理工農学系」と「医歯薬学系」が、いわゆる理系と呼ばれる学部・学科です。ただし、情報学部・学科は大きく分けて「社会科学系」と「理工学系」の2系統があり、一概に理系・文系と言えるわけではありません。
 

2.大学で数学や理科が必要かは入試科目ではわからない

ポイントとなるのは入試科目ですが、それについては後で紹介するとして、文理選択で注意したい学部・学科は、「数学と理科を必要とするか否か」です。

■文理選択で注意したい学部・学科の例1:数学が必要かどうか
(学部・学科:数学を必要とする理由)
  • 情報学系:プログラム、数理解析など
  • 経済・経営・商学系:経済数学、マーケティングなど
  • 心理・看護・社会学系:実験、調査、統計など

■文理選択で注意したい学部・学科の例2:理科が必要かどうか
(必要とする理科の科目:学部・学科の例)
  • 物理:工学、理学、機械、建築、自動車、航空・宇宙、理学療法など
  • 化学:工学、農学、薬学、食品・栄養など
  • 生物:医学、看護、農学、薬学、栄養、医療、健康など
意外と見落とされがちなのが、「心理・看護・社会学系で数学を必要とする」点です。大学に入ってから、実験や調査をしてデータを統計処理する授業があるからです。

これらの学部・学科では、必ずしも数学を入試科目に課しているというわけではありません。慶應義塾大学の経済学部でも、入試で数学を必要とするA方式と、そうでないB方式とに別れるほどです。数学が極端に苦手で文系を選んだけど、大学に入ってみて数学で苦労したなんてことにならないように慎重に選びましょう。

また、理科の科目についても注意が必要です。学部や学科によっては、例えば、物理が必須であったり、生物では受験できなかったりといった制限があります。機械系や建築学系は物理を必要とします。

特に理科は、物理は得意だけど生物は苦手、あるいは逆に生物は得意だけど物理は苦手など、理科とひとくくりにしても、科目によって得意・不得意が分かれる教科です。

数学だけでなく、理科についても自分の関心のある分野や進学したい学部・学科に関係のある科目かどうかを考えてを選ぶようにしましょう。

そのためにも、大学のHPやパンフレットなどをよく見て、受験に必要な科目はもちろん、大学でどんな授業があって、進学後に必要となる科目は何かをあらかじめ調べて知っておくことが大切です。
 

3.大学入試、文系と理系でどう違うの?

まずは、大学入試というものはどのような制度になっているのか、簡単に紹介していきます。東京大学といった国公立大学と早稲田大学といった私立大学では、入試制度(一般入試)に次のような違いがあります。

国公立大学
・大学入試共通テスト(旧センター試験)+各大学の個別学力検査(2次試験)

私立大学
・大学入試共通テスト
・大学入試共通テスト+各大学の個別学力検査
・各大学の個別学力検査

※大学入試センター試験は2021年度から廃止され、大学入学共通テストになります

大きな違いは、国公立大学が大学入学共通テストと各大学の個別学力検査の両方を受験しなければならないのに対して、私立大学はバラエティに富んでいるという点です。

とはいえ、私立大学の多くは、3つ目の各大学の個別学力検査が入試形態の中心になります。国公立大学と共通の大学入学共通テストを利用した入試は募集定員が少ないなど、同じ大学でも難易度が少し高めになるので注意が必要です。

文系と理系で、大学入試にどのような違いがあるのかというと、まず、大学入学共通テストは、文系の場合は6教科7~8科目(国、地歴、公民、数2、理2、英語)の中から必要な科目を受験することになります(*地歴と公民は1科目ずつ、理科は基礎が付く科目を2科目)。また、理系の場合は5教科7科目(国、地歴・公民、数2、理2、英語)を受験することになります(*地歴・公民で1科目、理科は基礎が付かない科目を2科目)。

*ただし、これら以外の組み合わせもあります。

2次試験となる各大学の個別学力検査は、文系は国語、英語、地歴・公民、小論文・総合問題などの中から2~3科目、理系は英語、数学、理科などから2~3科目を選択して受験することになります。

しかし、これはあくまでも一般的な傾向でしかありません。文系でも受験科目に数学がある学部・学科もありますし、逆に理系でも、理科や数学がなく、代わりに国語がある学部・学科もあります。

文系だけど国語や英語があまり好きではない、理系だけど数学も理科も両方できるわけではないという人は、それほど悲観する必要はありません。大切なことは、自分が得意な科目、好きな科目を中心に、自分の個性にあった文理選択・進路選びを心がけることです。

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