男の靴・スニーカー/ドレスシューズ

HIRO YANAGIMACHIのパターンオーダーと、更なる深化(2ページ目)

HIRO YANAGIMACHI Workshopのオーダーメニューに、新たにパターンオーダーが加わりました。頭脳明晰な柳町弘之氏が熟慮し抜いて開始しただけのことはあり、これが一般的なパターンオーダーとは発想が全く異なるのです。その凄みをより気軽に体験できるフェアの内容についても合わせてご紹介いたします。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

経験に漫然と接しない、謙虚な姿勢!

第一回パターンオーダーフェアundefinedプレーントウ*ブラウンアンティークカーフ

今回受注可能な外羽根式のプレーントウです。シンプルであるが故に作り手・履き手双方の感覚が試される、奥の深い一足です。アンティーク仕上げが施されたゴールデンブラウンカーフは、イタリアから取り寄せたものです。税込11万5500円(HIRO YANAGIMACHI Workshop TEL:03-6383-1992)

フィッティングサンプルの靴を履いてもらい、それを目安に最適な木型作製の方法を判断する、精緻かつ合理的なオーダーシステムが特徴のHIRO YANAGIMACHIの靴。復習になりますが、「どの方式をとれば、顧客の足に一番フィットする靴を提供できるか?」の道筋の違い、つまり品質の上下ではなく「快適さへのアプローチの違い」として、これまでは以下の3つの方式でオーダーを提供していました。

A.モディファイ:
ベース木型の各部位に着脱可能な革を「乗せ加える」だけで顧客の足にフィットさせることが十分可能な場合の方式。各部位に乗せ加えた革がその顧客専用になる。
B.チャージ&モディファイ:
ベースの木型に革を張るだけでなく、顧客の足にフィットさせるのにその一部を「削る」必要がある場合の方式。ベース木型が削られその顧客専用に変形する。
C.フルスクラッチ:
A.やB.では対応できない複雑な形状の足の場合の方式。木型やデザインパターンをゼロから起こし、製作途中で仮縫いを行う必要がある。

この選択肢は例えば「モディファイ」で十分済んでしまう足を持つ人に「フルスクラッチ」は強要しないなど、良心的かつ解り易いとの評価が完全に定着していました。とは言え1999年の創業から13年を経過し、これまで納品した靴の製作過程を改めて振り返ると、「ここは最近、結構な率で乗せ加えている」とか、逆に「この部分は近年、削る人の割合が相当高くなった」のように、ベース木型の修正個所や方法に一定の傾向が顕在化すると共に、各々の顧客の足の特徴を類型化できるようになったのも事実。現状に妥協せず進化・向上を常に考え抜き実践する柳町氏はそれらの傾向、特に「削る」の増加を踏まえ、フィッティングサンプル用のベース木型を一新するのを通じ、評価の高いこの仕組みも、敢えて更新することを決断したのです。


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