経験に漫然と接しない、謙虚な姿勢!
今回受注可能な外羽根式のプレーントウです。シンプルであるが故に作り手・履き手双方の感覚が試される、奥の深い一足です。アンティーク仕上げが施されたゴールデンブラウンカーフは、イタリアから取り寄せたものです。税込11万5500円(HIRO YANAGIMACHI Workshop TEL:03-6383-1992)
A.モディファイ:
ベース木型の各部位に着脱可能な革を「乗せ加える」だけで顧客の足にフィットさせることが十分可能な場合の方式。各部位に乗せ加えた革がその顧客専用になる。
B.チャージ&モディファイ:
ベースの木型に革を張るだけでなく、顧客の足にフィットさせるのにその一部を「削る」必要がある場合の方式。ベース木型が削られその顧客専用に変形する。
C.フルスクラッチ:
A.やB.では対応できない複雑な形状の足の場合の方式。木型やデザインパターンをゼロから起こし、製作途中で仮縫いを行う必要がある。
この選択肢は例えば「モディファイ」で十分済んでしまう足を持つ人に「フルスクラッチ」は強要しないなど、良心的かつ解り易いとの評価が完全に定着していました。とは言え1999年の創業から13年を経過し、これまで納品した靴の製作過程を改めて振り返ると、「ここは最近、結構な率で乗せ加えている」とか、逆に「この部分は近年、削る人の割合が相当高くなった」のように、ベース木型の修正個所や方法に一定の傾向が顕在化すると共に、各々の顧客の足の特徴を類型化できるようになったのも事実。現状に妥協せず進化・向上を常に考え抜き実践する柳町氏はそれらの傾向、特に「削る」の増加を踏まえ、フィッティングサンプル用のベース木型を一新するのを通じ、評価の高いこの仕組みも、敢えて更新することを決断したのです。
具体的にはどう変えたのかは、次のページで!