男の靴・スニーカー/ドレスシューズ

HIRO YANAGIMACHIのパターンオーダーと、更なる深化(3ページ目)

HIRO YANAGIMACHI Workshopのオーダーメニューに、新たにパターンオーダーが加わりました。頭脳明晰な柳町弘之氏が熟慮し抜いて開始しただけのことはあり、これが一般的なパターンオーダーとは発想が全く異なるのです。その凄みをより気軽に体験できるフェアの内容についても合わせてご紹介いたします。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

より合理的に、そしてより精密に!

第一回パターンオーダーフェアundefinedUチップ*ミディアムブラウンカーフ

今回受注可能な外羽根式のUチップです。手縫いのスキンステッチがとにかく見事! 価格以上の価値は必ずあります。アッパーのミディアムブラウンのカーフは、フランス・アノネイ社のものです。なおこのスタイルのみ、アッパーにスエードを用いることができません。税込14万1750円(HIRO YANAGIMACHI Workshop TEL:03-6383-1992)

これまでの高い評価に安住するのを善しとせず、より高次元な紳士靴の創造に動き出したHIRO YANAGIMACHIの靴。まずフィッティングサンプルに関しては、ベース木型の単なる変更に留まらず、
  • 足囲をEだけでなく、細身のDも用意した。
  • 足囲E・Dの双方に、外羽根式用・内羽根式用の2種類を用意した。
のを通じ、それを全く修正しない段階でより多くの人の足に、より正確に適応できるようにしたのが、これまでのものから大きく進化した点です。そして同時に、詳しくはこちらの一覧表をご覧いただきたいのですが、オーダーする際の選択肢も以下のように変化させています。

1.パターンオーダー
ベース木型に修正を加えなくても快適な場合の方式。トウシェイプの変更はできないものの左右別サイズでの製作は可能で、裏側に薄いシートを敷いた完全オリジナルの中敷きが数種類用意され、これらで微調整に対応する。スタイルはレースアップとサイドエラスティックの中からのみ選択可能で、デザインのアレンジは不可能。
2.モディファイドオーダー
前ページのA. とほぼ同じ。1.の微調整では対応し切れないものの、ベース木型に何らかの肉付けを行えば決定的に快適になる場合の方式。ローファーを除く全てのスタイルから選べ、それらにアレンジを加えることが可能。若干の制約があるものの、トウシェイプの変更にも対応可能。
3.フルスクラッチオーダー
前ページのC. と同じ。主に1.や2.では対応できない、靴の中での足の入り方そのものに問題がある場合の方式。ローファーを含めすべてのスタイルから選択可能。

そう、より手軽にオーダーが経験できる入門編として以上に、全てのオーダーの基準点の役割としてパターンオーダーが新たに登場したのです。そしてこれまでの「チャージ&モディファイ」が「モディファイドオーダー」に吸収・統合されたわけで、これについてはあれっ? と思われる方もいるかもしれません。
が、新たなベース木型では細身のDの足囲を用意したり、Eの足囲でも予めスリムに設計したりするのを通じ、これまでの木型では削る傾向の高かった箇所でも無闇に削る必要が無くなり、新木型を基にモディファイ、つまりその必要な箇所に着脱可能な革を「乗せ加える」方が、よりフィット感の高い靴として仕上げられるようになったから。
と説明すればご納得いただけるでしょう。

今日のドレスシューズに求められる性能を吟味した上で、靴自体の品質の上下ではなく「快適さへのアプローチの違い」として3方式のオーダーが用意されている点、そして各々の方式が作り手以上に顧客に対して深い配慮がなされた独創性・合理性を備えている点はこれまでと全く変わりません。パターンオーダーの登場で足にフィットした靴をより手軽に得られるようになった今回の仕組みの更新は、柳町氏とそのスタッフが議論と試作を重ねた上で示してくれた、伝統的な紳士靴を未来にどう引き継いでゆくのかに対する、より洗練され大きな進化・深化を果たした回答なのです。


肝心の新木型の履き心地については、次のページへ!
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