建設主・日本リートは、どんな会社?
長堀橋にある同社が運用するビル。日本リートはこのようなビルに投資をしたり、権利を証券化することで成長した企業(今回の件とは全く関係ありません) |
今回のような一般向けの分譲マンションは、本物件以外に3物件を手掛けています。平成13年大阪市北区豊崎、平成14年西宮市上甲子園、平成16年大阪市都島区中野町で分譲を実施。毎年1件あるかないかのペースで、ここ数年は収益ビルやマンションの購入が主な事業活動となっています。
建築確認を出した日本ERIは、どんな会社?
平成11年、住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下「住宅品確法」)に基づく住宅の性能評価・検査業務、建築基準法に基づく建築物の確認検査業務を目的として、東京都港区赤坂に日本イーアールアイ株式会社(現 日本ERI株式会社)が設立されました。平成16年に株式店頭登録後、ジャスダックに上場、建築確認・検査や住宅性能評価などを行える民間機関として急成長しています。株主にはミサワホーム、大和ハウス工業、パナホーム、三井ホーム、積水化学工業など大手ハウスメーカーも顔を出し、従業員数548名に対して一級建築士373名、確認検査員187名など豊富な人材を抱え、業界最大手となっています。しかし、最大手の民間確認機関として充実した陣容を誇る同社が、一連の構造計算書偽装事件に関して、検査機関として数多くの偽装物件の建築確認を見逃していたことがわかり問題になっています。一部の建築主からは裁判も起こされています。今後関西のマンションで見つかる可能性は?
構造計算を検証していく中で、関西に限らずミスや偽造は表面化すると思われます。※写真はイメージです |
怖いのは今回の大阪のようにミスに起因するもの。ガイドとしては子供の頃、先生に言われた「検算した?」という場面を思い出してしまいます。はっきり言ってミスは必ず起こります。検算してくれる検査機関が結果的にミスを見逃すこともあると思います。こればかりは万一の時に補償できる資力が事業主にあるかどうかを考えざるを得ません。大手や大企業系列のデベロッパーが「逆風だけど追い風」と思っているのはそういう計算が成り立つからです。一方、新興や中小デベロッパーでは、大手ゼネコンに建設を発注したり、販売で大手不動産販売会社と提携することで信頼感を高める傾向が広がるでしょう。
また、会社の規模にかかわらず独自の検査体制を打ち出したり、ホームページで各工程の写真を見られるようにしている会社も増えてきました。販売センターでは「うちは大丈夫です」というだけでなく、対策について質問してみて、どんな対策や情報開示を実施している確認。資料などを作成している販売センターもあるので参考にしましょう。それでも心配なら、自分で建築士を雇って設計図面を調べてもらうことはできますが、莫大なコストになり現実的ではありません。
結論としては、そういうマンションを買わないようにする完全な対策はありません。車を運転して事故を絶対に起こさないようにする方法がないのと同じです。どうしても心配な方はずっと賃貸で暮らすという選択肢もあります。しかし、やっぱり自分の持家としてのマンションが欲しいなら、納得できる体制がとられているか、補償できる資力があるか、という保険的な要素を考慮することが現実的な対応といえるでしょう。
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