セクシュアルマイノリティ・同性愛/映画・ブックレビュー

フランシス・ベーコン、その愛と人生(5ページ目)

ピカソと並び20世紀を代表する画家、フランシス・ベーコンの没後初となる大規模な展覧会が開催されています。この展覧会に関連し、フランシス・ベーコンが生涯にわたって求めつづけた男との恋愛、ゲイとしての人生を中心に、特集をお届けします。

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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フランシス・ベーコン展

フランシス・ベーコンの作品

《ジョン・エドワーズの肖像のための三習作》 1984年

現在開催されているフランシス・ベーコン初の大規模な展覧会では、身体がテーマとして掲げられ、ジョージ・ダイアーはもちろん、フランスの友人の絵、闘牛士の絵など、男性の裸体を描いた作品もたくさん展示されています。

イザベルが「愛の詩」と語ったように、ジョージ・ダイアーを描いた絵には、他の作品のような恐怖や衝撃はあまり感じられず、抽象画テイストの肖像画といった趣になっています(展覧会のポスターになっている絵がそうです)。また、今回展示されている「Three Figures and Portrait, 1975」からは、その死を悼む感情が伝わってくるように感じられます。

そして、ジョージの次の恋人、ジョン・エドワーズを描いた作品(右上)などは、他の作品に比べてはるかにリアルで明るい雰囲気の作品になっているのが印象的でした(ホックニーかと思うくらいの爽やかさでした)

フランシス・ベーコンの作品

《三幅対》1991年 ニューヨーク近代美術館蔵

また、亡くなる3ヵ月前に描かれた「Triptych, 1991」は、右側に自画像、左側に(明言はされていませんが)最後の恋人ホセ・カペッロ、そして真ん中に肉体が絡み合っているような絵、という構成になっています。

もしかしたら、予備知識なしにベーコンの絵を初めて観る方は、面食らったり、驚いたり、拒絶反応を起こしたりするかもしれません……が、これまでにご紹介してきたようなフランシスのゲイとしての生き様、その恋多き人生を知ったうえで作品に接してみると、きっと、漫然と鑑賞するのとは異なる、より充実した体験を得られるのではないかと思います。

ベーコン展のポスター

 

フランシス・ベーコン展
会期:~5月26日(日)
会場:東京都 竹橋 東京国立近代美術館
時間:10:00~17:00、金曜日は20:00まで(入館は閉館時刻の30分前まで)
休館日:月曜日(ただし4月29日、5月6日は開館)、5月7日
料金:当日 一般1,500円、大学生1,100円、高校生700円/前売 一般1,300円、大学生900円、高校生500円
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