世界遺産/アジアの世界遺産

ボロブドゥール寺院遺跡群/インドネシア(4ページ目)

世界三大仏教遺跡のひとつであるボロブドゥールは、一辺約120mの基壇をベースに200万個に及ぶブロックを積み上げた階段ピラミッド。仏教寺院だといわれるが、悟りに至る道を示した「経典」であり、世界の在り方を表した「立体曼荼羅」のようにも感じられる。今回は、ジャングルにそびえる雄大な景観と精緻なレリーフが美しいインドネシアの世界遺産「ボロブドゥール寺院遺跡群」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

パオン寺院とムンドゥ寺院

ムンドゥ寺院

8~9世紀の建立と見られるムンドゥ寺院。基壇は28×25mほどの長方形で、その上に約14m四方の箱形のお堂が乗っている

世界遺産「ボロブドゥール寺院遺跡群」はシャイレーンドラ朝が築いた3つの遺跡、ボロブドゥール、パオン寺院、ムンドゥ寺院を登録している。ここではボロブドゥール以外のふたつの寺院を紹介しよう。

■パオン寺院
パオン寺院

パオン寺院

ボロブドゥールの東1.7kmの位置にある仏教寺院がパオン寺院だ。8世紀末に建設されたと見られており、パオン寺院とムンドゥ寺院がボロブドゥールの真東にあることから、当時はボロブドゥールを中心とした仏教都市が展開し、その東翼を担っていたのではないかと考えられている。

とても小さな寺院だが見事なレリーフで知られており、すべての願いをかなえるという聖樹カルパタルや、半人半鳥の音楽神キンナラとキンナリなどが生き生きと描かれている。カルパタルやキンナラ、キンナリは近隣のヒンドゥー寺院プランバナンでも見ることができ、仏教とヒンドゥー教の融合文化が確認できる。

 
■ムンドゥ寺院
ムンドゥ寺院内部

ムンドゥ寺院内部。中央が釈迦如来坐像

パオン寺院のさらに東1.2kmにあるのがムンドゥ寺院だ。この寺院の見所は内部に収められた釈迦如来、観世音菩薩、金剛手菩薩の三尊像で、特に釈迦如来坐像は「世界でもっとも美しい仏像のひとつ」といわれているのだとか。衣を描かず、身体の線をエレガントに描き出したその技法はインドのグプタ美術の流れをくんでいる。

パオン寺院同様レリーフも美しく、鬼子母神図、毘沙門天図をはじめ寺院の四面は数々の仏教レリーフで覆われている。敷地内にある巨大なガジュマルも見事だ。

 

ボロブドゥールのサンライズ&サンセット・ツアー

ボロブドゥールの日の出

ボロブドゥールの日の出。朝霧に覆われたジャングルから昇る太陽はなんとも神秘的。開園時間の6時になると観光客が一気に増える

近年、ボロブドゥール観光の目玉となっているのが、マノハラが主催するサンライズ・ツアーだ。

ボロブドゥールはボロブドゥール史跡公園内にあり、公園の入場時間は6~17時で18時閉園となっている。しかし園内にただ一軒、マノハラというホテルがあり、観光客が入る前・去った後にサンライズ&サンセット・ツアーを催行している。

特にサンライズ・ツアーが有名で、早朝4時半にホテルを出発してボロブドゥールの上から日の出を眺めることができる。朝焼けの日の景観は特にすばらしく、夜の闇と朝霧に覆われたボロブドゥールが夜明けとともに少しずつ姿を現し、ジャングルを覆う霧海の上に燃え上がる姿をじっくりと眺めることができる。

ツアー参加者の多くがホテルに宿泊するようだが、他のホテルの宿泊者でも参加可能だ。詳細はツアー会社や公式サイトで確認してほしい。

[関連サイト]
  • マノハラ(公式サイト。英語/インドネシア語)
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