ローマ式の窯とティエリさんのパン
パンの生地はフランスの伝統の練り桶で手捏ねされます。30kgの生地を手で捏ねるのです。看板に「手作り」とあるのは、よくある「手作り」の表記とは違って、本当にミキサーやオーブンなどの機械に頼らず、手で作っているのです。練り桶もその下の発酵室も手作り。そしてこの発酵室には「パリジャン」という愛称までついていました。
練り桶と発酵室
ローマ式の窯は薪を焚いて5時間ほどかけて温度を上げ、掻き出した後、パンを入れて余熱で焼き上げる、伝統的な窯です。日々の微妙な温度調節の難しさが好き、というティエリさん。窯の使い方は経験だけが頼り。毎回失敗しては直し、それを繰り返して焼けるようになったそうです。
営業は週に2回。日曜は時々無人販売。
最初だけレーズンで起こし、水と小麦粉で継いだ酵母で発酵させる生地は、全粒粉やライ麦粉を独自の配合でブレンドしています。窯に入れる準備が整うまでに48時間は要するので、販売は水曜と土曜のみ、パンが残っていれば日曜日にも、なんと、無人での販売があります。まるで畑の横で野菜を売るような感じで。
山のパン
一番ベーシックなPain de montagne(山のパン 500円)は北海道産の全粒粉入り。Pain du Bourg(パンドゥブール 450円)は全粒粉、そば粉、ライ麦入り。これらを食べる時、ティエリさんはフランスに想いを馳せるのだそう。
山のパン 断面
このほかにPain a la tomate (トマトパン 550円)、Pain de montagne et peaux d'orange (山のパンとオレンジピール 550円)など週替わりでベーシックなパンに何かをプラスしたバリエーションがいくつかあり、販売日には5、6種類が並びます。
山のパンとオレンジピール