フィンランド3大古城の歴史と観光案内(2ページ目)

北欧有数の美しいレンガ造りの城郭、ハメーンリンナのハメ城

古城ハメ城（Hämeen linna）が現存する、ヘルシンキから100キロほど北上した先にあるハメーンリンナという街は、実は街の名前自体が訳せば「ハメ城」となる城下町。湖のようにも見えるヴァナヤヴェシ（Vanajavesi）という穏やかな支流のほとりにあり、ヘルシンキからタンペレへと向かう列車からも、ハメーンリンナ駅を過ぎた直後にその美しい全景を眺めることができます。

ハメ城の築城年は明らかにはなっておらず、当初は島の上に浮かんでいたという説もあります。いずれにせよ、13世紀以降激化していたスウェーデンとロシア（ノブゴロド公国）との領土争いの狭間で、スウェーデン領の東の境界を防衛するための拠点として、この地に要塞が築かれました。

けれど15世紀終わりごろには、すでにスウェーデン領がより東へと拡張されていたため軍事要塞としての意義は薄くなり、代わってこの地方の政治経済の中心地としての役割を果たすようになったといいます。

花崗岩とレンガによって城郭部分が建造され始めたのは1300年代のことで、現存する城郭は北欧で最も保存状態の良いレンガ造りの城とも言われます。とはいえ1700年代までには修復不十分で一度荒廃も進んでしまいましたが、その後、増築・改築事業や、城の周囲に水堀を張り巡らす事業が進められ、強固な城らしい風格を持つようになりました。

しかし19世紀に入り、ロシアがフィンランドを制圧してからは、ハメ城もいち早くロシア軍の駐在地となっています。城は監獄として利用されることになり、国がロシアからの独立を果たした後も、1970年代までは「監獄の城」としての役目を果たし続けてきました。

現在は城内ミュージアムのほか、監獄や軍事施設も一般公開

ハメ城が監獄としての役目を終え、歴史を物語る博物館としての一般公開が始まったのは1979年のこと。小窓からかろうじて光が指す程度の、薄暗い洞窟のような城内を探検しながら、食堂、礼拝堂、王の間などを順次見学することができます。また敷地内には、フィンランド国立博物館の展示やレストランもあります。

この本城に隣接している、ロシア制圧時に実際に利用されていた監獄博物館や砲兵博物館も、それぞれ見学することもできます（城内見学との共通チケットも販売しています）。監獄博物館は、独房の様子や囚人服などのアイテム、施設内での生活の様子がリアルに再現されていて、ビジュアルだけでも十分に雰囲気が伝わる興味深い施設。いっぽう砲兵博物館には、20世紀の世界大戦や内戦の際にフィンランド国防軍が扱っていた、歴代の火砲などがずらりと展示されています。屋外には実際の砲兵陣地も再現されており、マニア受けのよい博物館として注目されています。

＜DATA＞
■Hämeen linna（ハメーン・リンナ）
住所：Kustaa III:n katu 6, 13100 Hämeenlinna
TEL：+358 3 675 6820
アクセス：ハメーンリンナ駅から徒歩約30分
開館時間：火～金曜10:00～16:00、土・日曜10:00～16:00
（5月は月曜も開館、6～8月中旬は毎日11:00～18:00）
休館日：月曜（夏季以外）
入場料：城内博物館8ユーロ（学生6ユーロ、17歳以下4ユーロ）
※砲兵博物館、監獄博物館との共通券は14ユーロ

■砲兵博物館の公式サイトはこちら
■監獄博物館の公式サイトはこちら

最終ページでは、サヴォンリンナにあるオラヴィ城の歴史と、世界的に有名な夏のオペラ祭のようすをご紹介！