フィンランド/湖水地方

湖畔の工業都市タンペレのおすすめ観光スポット10選(2ページ目)

ヘルシンキから160キロほど北上した先にある、フィンランド第2の都市タンペレ。昔から豊かな湖水資源を利用した紡績や機械産業が盛んで、水力発電も行われている川辺に建ち並ぶレンガ造りの工場群は、タンペレならではの風景を生み出しています。2017年にリニューアルオープンを果たしたムーミン美術館を始め、工場跡地を利用したアミューズメント施設や街を見渡せる展望スポットなど、10大おすすめ観光スポットをご紹介します。

こばやし あやな

執筆者:こばやし あやな

フィンランドガイド


教会にガイコツ?蛇? ミステリアス巨大壁画に注目したいタンペレ大聖堂

内観

2階席部分のフレスコ画には、天使ではなくなぜか生きた男児たちが花綱を運ぶ様子が描かれている

外観

外観はナショナルロマン主義の雰囲気を漂わせる中世のお城のようなつくり

タンペレ駅のメイン出口を出て北へ徒歩5分ほど歩くと、中世の雰囲気を漂わせた石造りのタンペレ大聖堂(Tampereen tuomiokirkko)が見えてきます。

タンペレ大聖堂の外観は、中世の建築を彷彿とさせる豪壮な石造り。1900年代初期に流行った典型的なナショナルロマン主義の建築で、ヘルシンキのカッリオ教会やシベリウスの住居アイノラなどの設計を手がけたラルス・ソンク(Lars Sonck/1870-1956)による作品です。

けれど、このお城のようなほのぼのとした外観のイメージを抱いたまま中へ入ると、一瞬ぎょっとしてしまうかもしれません。内部の壁一帯に描かれたフレスコ画はどれも、教会とは思えないややグロテスクなモチーフばかりなのです。天井アーチの中心にはなぜか蛇が描かれ、さらに聖壇横にはガイコツが庭の植物に水をやる光景を描いた巨大壁画が。

 

ヘビ

もぎ取られた羽が舞い散る中心でうねる蛇のフレスコ画

これらのいわくつきフレスコ画を描いたのは、名画「傷ついた天使」などで知られる画家ヒューゴ・ジンベリ(Hugo Simberg/1873-1917)。もちろんそれぞれの絵には彼なりの死生観や感性が反映されており、教徒たちもそれを受け入れているからこそ大聖堂は今日まで有り続けています。教会という先入観にとらわれず、ジンベリがどんな思いでこれらの絵を描いたのかをあれこれ想像をめぐらしながら、しばし鑑賞にふけってみてはいかがでしょうか。

<DATA>
Tampereen tuomiokirkko(タンペレーン・トゥオミオキルッコ)
住所:Tuomiokirkonkatu 12, 33100 Tampere
TEL:+358 40 804 8765
アクセス:タンペレ駅西側出口から北方向へ徒歩約5分
開館時間:夏季は毎日10:00~17:00
休館日:なし(開館中も、特別礼拝やイベント中は立ち入り不可)

コンクリート建築のイメージを覆すエレガントな近代教会、カレヴァ教会

カレヴァ教会

見仰ぐほどに高い天井を支えるコンクリート壁と、祭壇画の代わりに設置された木製の葦のモニュメントはとても印象的

駅から中心街とは逆の東方面に少し足を伸ばすと、見た目にはとても教会とはわからない、まるで巨大な彫刻作品のようなタイル張りの建物に行き着きます。これは、夫妻で活躍していた建築家のライリ/レイマ・ピエティラ(Raili ja Reima Pietilä)が1960年代に設計を手がけたカレヴァ教会(Kalevan kirkko)。

外観

郊外ののどかな緑地公園にそびえ立つ、一見して教会とはわからないモニュメントのような建築

中に入ると、空間一帯が吹き抜けになっており、高さ35メートルにもなる魚型の天井をずっしりとしたコンクリート壁が支えていて、なんとも特異な雰囲気を醸し出しています。冷たく無機質な印象をもたらしがちのコンクリート建築ですが、オーロラがうねるような流線形の壁の隙間から自然光が漏れこんでいて、木製の椅子やパイプオルガンの質感とも不思議とマッチしているので、ちっとも冷ややかな印象を与えません。

祭壇部分に宗教画の代わりに設置されているモニュメントは、ピエティラ自身がデザインした「傷ついた葦(Särkynyt ruoko)」という長身の木彫作品。上方向への眼差しを誘導させる空間にぴったりの、とても神秘的で印象的な作品です。

<DATA>
Kalevan kirkko(カレヴァン・キルッコ)
住所:Liisanpuisto 1, 33540 Tampere
TEL:+358 40 804 8774
アクセス:タンペレ駅から東方向へ徒歩約15分/市バス3,17,25番など「Kaalamonaukio」下車すぐ
開館時間:夏季は毎日11:00~15:00(7,8月は~17:00)
休館日:夏季以外は要事前確認

次ページでは、フィンランドといえば……の愛すべきキャラクターの魅力をたっぷり伝える美術館と、ユニークな博物館ばかりが集まった総合施設をご紹介!
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