フィンランド/フィンランド沿岸地域と群島

西の古都トゥルクのおすすめ観光スポット10選(4ページ目)

スウェーデン統治時代の首都であり、ハンザ同盟の主要都市としてヘルシンキよりも長く歴史を刻んできたフィンランド南西の街、トゥルク。幾度も戦火にのまれ街並みは一変しましたが、スウェーデンの影響を色濃く受けた大聖堂や古城などが、今も中世の面影を残しています。また郊外には、息を呑むほど美しい近現代教会が点在。新旧の魅力あふれる、トゥルクおすすめの観光スポット10選をご紹介します。

こばやし あやな

執筆者:こばやし あやな

フィンランドガイド


自然の要素が織りなす神聖さに満ちた、復活礼拝堂

礼拝堂

ステンドグラスの代わりに祭壇を輝かせるのは、外からの太陽の光と森のシルエット

マーケット広場からバスでやや郊外にある市民墓地へ。その敷地内の松林のなかにひっそりとたたずむ復活礼拝堂(Ylösnousemuskappeli)は、1941年に完成したナショナル・ロマン主義の趣きが残る教会建築です。トゥルク市内には、1900年代前半に国内で活躍した建築家、エリック・ブリュッグマンの建築が多く残っているのですが、この礼拝堂はとりわけ彼の一番の名作として、国内外から何度も足を運ぶファンも多いほどなのです。

外観

礼拝堂正面に架けられた金色の十字架にも、ツタのレリーフがからまっている

従来の教会にあるようなステンドグラスや宗教画に代わって、この静寂の礼拝堂をより神聖に輝かせるのは、建物の片側から差し込んでくる太陽光と、それによって映しだされる外の木々のシルエット、そして十字架の背後に伸びる緑のツタ……と、いずれも自然の要素ばかり。白い壁にこれらが刻々と微妙に姿を変えながら浮かび上がり、なんとも言えず神々しく、それでいて誰もが温かな気持ちに満たされる空間です。

扉の取っ手や入口のガラスなどにも繊細な植物のモチーフが施されていて、オリジナルランプの形状も水のあぶくのよう。そこにはキリスト教が伝わる以前から自然への畏敬の心を大事にしてきた、フィンランドならではの自然信仰の思いも汲み取れる気がします。

<DATA>
Ylösnousemuskappeli( ウュロョスノウセムスカッペリ)
住所:Hautausmaantie, 21, 20720 Turku
TEL:+358 40 341 7530
アクセス:マーケット広場から市バス9,12番で10分「Uusi hautausmaa」下車すぐ
※開館時間は事前に要電話確認。日・月曜は閉鎖

自然光に浮かびあがる木のぬくもり、聖ヘンリー・エキュメニカル礼拝堂

エキュメニカル大聖堂

未塗装の木のぬくもりに包まれた礼拝堂の内部。スリットからの自然光で、奥行きあるユニークな姿がくっきりと浮かび上がる

2005年、トゥルク郊外のがん患者療養施設のそばに、聖ヘンリー・エキュメニカル礼拝堂(Pyhän Henrikin ekumeeninen taidekappeli)と呼ばれる礼拝堂が、基金によって建てられました。設計者はマッティ・サナクセンアホというフィンランドの現代建築家のひとりで、教会建築のイメージを覆すこのユニークな作品で大いに注目を集めました。

船をひっくり返したような形状の建物の外壁を覆うのは、周囲の松林の色に溶け込む銅板。そして内部には塗装のなされていない美しい松材が張りめぐらされ、一本の木の内側に迷い込んできたかのような不思議な心地に満たされる、奥行きある空間が続いています。

奥の祭壇が光り輝いて見えるのは、両サイドから太陽光が漏れこんでいるから。復活礼拝堂と同じく、ここでも自然の光が建物の重要な要素となっているのです。また、この礼拝堂はアート・チャペルとも呼ばれ、冠婚葬祭の儀式だけでなく、アート作品の展示や、コンサートの用途でも利用されています。

<DATA>
Pyhän Henrikin ekumeeninen taidekappeli
( プュハン・ヘンリキン・エクメーニネン・タイデカッペリ)

住所:Seiskarinkatu 35, 20900 Turku
TEL:+358 2 265 7777
アクセス:マーケット広場から市バス54番で約15分「Meri-Karina」下車すぐ
開館時間:火~金曜11:00~15:00(5~8月は16:00まで、木曜は年間18:30まで)、土・日曜12:00~15:00
休館日:月曜(5~8月は月曜も開館)

心安らぐ日本の味と文化の発信拠点、やすこの台所

やすこの台所

店内には、飲食テーブルだけでなく、ありのままの日本文化を伝える道具やインテリアがずらりと並んだスペースも

トゥルクの目抜き通りであるウュリオピスト通り(Yliopistonkatu)には、トゥルク市民のみならず、国内の日本愛好家たちや在住日本人、日本人観光客から愛され続ける日本料理屋さん「やすこの台所」があります。

旅先では、現地ならではの味をめいっぱい楽しみたいいっぽうで、どうしても無性に故郷の味が恋しくなる瞬間が訪れるもの。そんなときにオーナーのやすこさんが、慣れ親しんだ「日本のお母さんの味」と、本物の日本文化を伝えるインテリアや道具などとともに優しく迎えてくださり、旅疲れをほっと癒してくれますよ。

※「やすこの台所」の詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。


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