フィンランド/フィンランド沿岸地域と群島

西の古都トゥルクのおすすめ観光スポット10選(2ページ目)

スウェーデン統治時代の首都であり、ハンザ同盟の主要都市としてヘルシンキよりも長く歴史を刻んできたフィンランド南西の街、トゥルク。幾度も戦火にのまれ街並みは一変しましたが、スウェーデンの影響を色濃く受けた大聖堂や古城などが、今も中世の面影を残しています。また郊外には、息を呑むほど美しい近現代教会が点在。新旧の魅力あふれる、トゥルクおすすめの観光スポット10選をご紹介します。

こばやし あやな

執筆者:こばやし あやな

フィンランドガイド


フィンランドルーテル教会の総本山、トゥルク大聖堂

大聖堂

たびたび改修や拡張が繰り返されて今の姿になった大聖堂は、アウラ川のほとりで街全体を見下ろしている

アウラ川のほとりにそびえ立つ街のシンボル、トゥルク大聖堂(Turun tuomiokirkko)は、フィンランドの国教であるルーテル教会の総本山として長らくこの地に鎮座しています。

大聖堂内観

バシリカ様式の荘厳な教会は、フィンランドでもここだけ

ここに聖堂が建設されたのは、フィンランド国内でキリスト教が普及し始めてまもない1300年代はじめのこと。スウェーデンに程近い位置にあるトゥルクの街は、交易拠点であるだけでなく、西方からの影響や流行をいち早く受け止める役割を担っていました。そこで13世紀にローマ教皇がフィンランドにはじめて司教座を置いた地が、まさにここトゥルクだったのです。その後幾度となく拡張工事や火災焼失による再建が繰り返され、今日の姿の設計を手がけた1人が、ヘルシンキ大聖堂の設計者としても知られるドイツ人建築家、カール・エンゲルでした。

ヨーロッパ諸国の中世の聖堂では当たり前に見られる、内部が側廊によって囲われたバシリカ建築は、実はフィンランドでは唯一この大聖堂だけ。見事なアーチ天井やきらびやかな祭壇、ステンドグラスの数々は、フィンランド人たち自身がエキゾチックさを感じてしまうほどなのです。当初はカトリック教会として建設されたため、現在でもその趣を漂わす荘厳なつくりのままですが、後にルーテル派が伝わって国教となってからは、ルーテル・メイン教会としてその役割を果たしています。

<DATA>
Turun tuomiokirkko(トゥルン・トゥオミオキルッコ)
住所:Tuomiokirkonkatu 1, 20500 Turku
TEL:+358 40 341 7100
アクセス:マーケット広場から徒歩7分、市バス各線「Tuomiokirkko」下車すぐ
開館時間:9:00~18:00
休館日:なし(特別礼拝やイベント中は立ち入り不可)
※教会ミュージアムは入場料2ユーロ

国民的作曲家の貴重な資料と世界の楽器が展示される、
シベリウス博物館

シベリウス博物館

館内には小さなコンサート会場があり、ライブが開催されることも。普段はスピーカーから、シベリウス作品の録音が心地良く流れている

トゥルク大聖堂のそばにあるシベリウス博物館(Sibelius-museo)には、日本にも熱心なファンの多い国民的作曲家ジャン・シベリウス(Jean Sibelius/1865~1957)が残した直筆譜や日記の断片、生前に愛用されていた遺留品など、彼の人生や思想をうかがい知るための貴重な資料が展示されています。展示室は決して広くないものの、時代ごとの作風や暮らしぶりに関する説明も豊富で、ヘッドフォンで代表作の音源を聞きながらその変遷を追っていけるのも魅力です。

また同じ館内には、毎週水曜日(夏季はなし)の夜に室内楽コンサートが開かれる品の良い小ホールや、国内や世界の珍しい楽器コレクションを展示するコーナーもあり、音楽が好きな人なら広く楽しめる施設となっています。

<DATA>
Sibelius-museo(シベリウス・ムセオ)
住所:Piispankatu 17, 20500 Turku
TEL:+358 2 2154 494
アクセス:マーケット広場から徒歩10分、市バス各線「Tuomiokirkko」下車徒歩3分
開館時間:火~日曜11:00~16:00(水曜は~18:00、水曜コンサートは19:00~)
休館日:月曜
入場料:4ユーロ(学生2ユーロ、18歳以下無料)
水曜コンサートのチケットは10ユーロ(学生6ユーロ)

こんな図書館が自分の街にも欲しい!北欧デザインに彩られた市立図書館

市立図書館内観

児童書のコーナーも、子供たちが楽しく快適に読書や談話に夢中になれるような仕掛けとインテリアがいっぱい

トゥルク大聖堂からアウラ川を挟んで対岸にあるトゥルク市立図書館(Turun pääkirjasto)は、1903年に建てられた伝統ある旧館の建物の横に、2007年に巨大な新館が増設されて渡り廊下で連結され、国内有数の大型図書館として生まれ変わりました。

図書館外観

手前が新館で、奥の旧館にはガラス張りの渡り廊下が続いている。向こう岸には大聖堂がそびえ立つロケーション

新館は、一歩足を踏み入れると「これが本当に図書館?」とびっくりするほど開放的で、多機能的で、カラフル。本を読むための椅子ひとつとっても、北欧デザインマジックのかかったさまざまな形状の腰掛け場が用意されていて、自分の一番くつろげるスタイルを選ぶことができます。

特に1階の児童書コーナーには、世界各国の本が揃っているだけでなく、ちょっとした博物館や学習室のようにアレンジされたコーナーもあって、子供たちが楽しげに顔を突き合わせたり本に読みふけっているのが印象的。ロビーでは展示会やイベントも頻繁に開催されます。観光ついでにちょっと立ち寄ってみるだけでも、大きなカルチャーショックを受ける図書館なのではないでしょうか。

<DATA>
Turun pääkirjasto(トゥルン・パーキルャスト)
住所:Linnankatu 2, 20100 Turku
TEL:+358 2 2620 624
アクセス:マーケット広場から徒歩5分
開館時間:月~金曜9:00~20:00、土曜10:00~16:00、日曜12:00~18:00

次ページでは、歴史ある美術館とユニークな2大博物館をご紹介!

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