2011年は三菱地所と藤和不動産が統合し、全国トップの座を獲得する
発売ランキングの変化が業界勢力図の変化を投影する。
かねてから藤和不動産はUFJ銀行(当時)など主要取引行に対して金融支援を要請するなど、2002年当時から財務基盤が弱体化していました。そこで、2003年に第三者割当増資を引き受けて三菱地所が筆頭株主となり、さらに、2009年4月には株式交換によって藤和不動産は完全子会社化されました。
都心に強い三菱地所と郊外が得意な藤和不動産が、一定のすみ分けをしながら部資材の共同調達など、効率化を図れるところは協力し合い、お互いのシナジー効果を高めていきました。1億円超の高額マンションから手ごろな価格帯のマンションまで、対象顧客のすそ野を広げることで、販売を安定化させたい考えです。残念ながら、2012年は第3位に転落してしまいましたが、一定の存在感を示しているのは間違いありません。「ザ・パークハウス」の躍進は今後も続きます。
一進一退の新築マンション市場 デベロッパーには「次の一手」が求められる
2010年以前のランキングはスペースの関係もあり、上位10社のみを3年ごとに区分けして掲示してみました(図表4・5)。ライオンズマンションの大京と、2009年11月に東京地裁へ会社法の適用を申請した穴吹工務店が健闘している様子が見て取れます。偶然のいたずらなのでしょうか、トップの地位を欲しいままにしていた大京は2010年5月、経営再建中の穴吹工務店と業務提携することを発表しています。それぞれが有する事業ノウハウや情報提供を通じた事業展開の可能性を広げるのが狙いです。また、請負工事など業務の紹介も行なうといいます。“昨日の敵は今日の友”と言うわけです。その穴吹工務店も2012年は第15位に返り咲きました。堂々TOP20へランクインです。
消費者ニーズの開拓による需要創出や経営統合による企業体力の強化など、サバイバル時代を生き抜く分譲マンション業者には“次の一手”が求められます。独自の将来ビジョンを明確に描き、生き残りを掛けた事業戦略が打ち立てられるかが企業の存亡を二分します。