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石川尚の一家一脚・椅子物語UP#011 学生が一脚ずつ所持した椅子(2ページ目)

UP#011:・・・ 南ドイツにあったウルム造形大学の学生一人一人の為にデザインされた椅子。機能を追求すれば美しさが生まれる」という心が伝わってくる、羨ましいかぎりのスツールです。

石川 尚

執筆者:石川 尚

ファニチャーガイド

←両側の脚側面・・・床と接する面の中央を緩やかなカーブで削っている。床は常に平らでは無く、凸凹しているので、このように削ることで設置面を少なくして安定するようにしているのである。
中央の丸は径18mmの横貫断面(断面にくさびを打ち込んで止めている)



←両側の脚の端部は一度、縁を切っている・・・「縁を切る」ってスゴイ言い回しだが、れっきとした業界用語、つまりモノとモノを離す意。
“しかし、この縁の切り方がニクイ!2mmほどのシャープなVカットで緊張感を醸し出している。”



丸い横貫(よこぬき:横棒のこと)をつかんで持ち歩きし、ある時はディスプレイ台として作品展示に役立った。横に連結すればベンチとして、縦に積み重ねれば棚になる、優れものの多機能スツール。
とにかく、ウルム造形大学の象徴として存在したスツールなのである。

マックス・ビル氏がバウハウスで学んだ「機能芸術」という考え方・・・・・全てのモノには機能があり、その機能を追求していくとフォルムが生まれる。
まさにその考え方がカ・タ・チとして誕生したのが、このスツールなのである。

身近な道具を通して、モノの価値、デザイン方法、そしてなによりも「機能を追求すれば美しさが生まれる」という心を伝えたかったのであろう。

■UP#011
Ulmer Hocker

・1954製作/ドイツ
・SIze  :W 395 D 295 H 450/SH 450
・Material:ビーチ材 
・Designer:Max Bill/マックス・ビル
・Product :Vitra Design Museum/Germany
・Shop  :hhstyle.com
・Price  :¥19.000-






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(C)MAY.2003 Copy by イシカワデザイン事務所 & Photo by 渡邊 和俊

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