ボクが某住宅メーカー研究所に勤務していた時代、新商品(住宅)のカタログ制作でよく撮影現場に立会うことがあった。
ゆったりとしたリビング、個性的な書斎、コダワリのホビールーム・・・だいたいが、オーディオルームやホームシアターなどである。
どれをとっても質の高い空間だが、インテリアデザイン(コーディネーションを含む)を皆で考える時、必ずといっていいほど、存在感のあるラウンジチェアーがそこにあった。
視覚的に‘様’になり、「この空間には何が似合うかねぇ?」・・・困った時の神頼み存在の椅子が、『Lounge Chair & Ottoman 』。
「空間を制覇してしまうモノのひとつは、ファニチャー(とくに椅子)だ。・・・そのファニチャーがあることによって空間がキ・まる!」・・・そう言い切っても過言ではない。ある種、モノがもつ存在感の象徴がソレである。
『Lounge Chair & Ottoman 』は、いまから約50年前の1956年に発表、Eamesの中でも最高傑作の作品である。
ゆったりと身体を預けることができる革ぐるみのクッション(完全に本体から取り外せる構造になっている)。2次曲面の肩・背・座、そしてオットマン(ひざを投げ出して置く椅子のこと)の合板でそのクッションをカバーし、各々を特殊な金具と円盤上の硬質ゴムで固定している。
←1946年、第二次世界大戦の戦場からのオーダーがきっかけとなって、生まれた成型合板の椅子、LCW...Eamesの代表作
この曲面成型合板のプロトタイプ(原型)として、そのまた10年さかのぼる1946年に発表したLCW(ボクの大好きな椅子)、DCWシリーズがある。このLCW・DCWに続いてLCM・DCMに進化し、高品質化したのがこのラウンジチェアーなのである。椅子は五角形の星形をした台座上で自由に回転する。ふっかりと柔らかいクッションに身体をうずめて、脚をオットマンに・・・・・・至福の時間を快適に過ごす。
ファッションで所有してもキ・まらない。
自分自身の資質を高め、同時に様々なキャリア(経験)を通して地位・人格がそなわった時、この椅子が似合う・・・椅子を通して自分が見えてくる、自分が映る。。。。。まさにステータス・シンボルの椅子なのである。
■UP#025
Lounge Chair & Ottoman /ラウンジチェアー&オットマン
・1956製作/米国
・SIze :W 845 D 820 H 835/SH 380 , (O)W 576 D 650 SH 420
・Material:アルミニウム、ウオールナット合板、レザー
・Designer:Charles&Ray Eames
・Product :Harman Miller/USA
・Shop :hhstyle.com
・Price :¥400.000-,(O)¥125.000-
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