社会で輝く女性たちを象徴し、演出するテキスタイル・デザイン
Marimekko
洋服やカバン、雑貨類なども数あまた販売されているけれど、マリメッコの原点であり真骨頂はやっぱり布地そのもの。布をメートル売りするコーナーには洋裁の好きなお客さんが絶えない
実はMari(マリ)は、フィンランド女性に多い人気の名前。つまりフィンランドの女性たちの象徴とも捉えられるし、アルファベットを入れ替えれば、なんとマリメッコの創業者アルミ・ラティア(Armi Ratia/1912-79)の名前が浮かび上がります。
当初、創業者のアルミ自身を驚かせた色鮮やかで大胆なデザインは、今日まで色褪せずに愛され続けている
ちなみに、その革新的なデザインをアルミに提供したデザイナーこそが、かのウニッコ(Unikko)柄をはじめ、今日その作品の多くが復刻し愛され続けているマイヤ・イソラ(Maija Isola/1927-2001)。新たな活力を必要としていた世界大戦直後の社会で、こうして確かな先見の明を持って、失敗や反感を恐れずに新時代を切り開こうとした2人の強くたくましい女性が、今や世界が注目するファッションブランドの、そして社会貢献に意欲を示すフィンランド女性たち自身の、輝かしい歴史の扉を開けたのでした。
「すべての男性へ」という意味の込められたストライプシャツ、ヨカポイカもロングセラー商品のひとつ
また、女性を輝かせる使命を担ってきたイメージの強いマリメッコですが、例えば1950年代にデザインされて以来人気の絶えないストライプシャツ「ヨカポイカ(Jokapoika)」シリーズはもともと、現地語で「すべての男性へ」という意味の込められた、れっきとしたメンズ商品。近年は特にメンズラインも充実してきており、外交の場で大臣がマリメッコのネクタイを着用し、国を代表するデザインをPRしたことなども話題に上りました。
さらに2012年からは、フィンランド航空と大々的にコラボレーションを果たし、なんとウニッコ柄の機体が世界を飛び回り始めたことでも注目を集めています。「暮らしのクオリティを導いてゆく文化現象」……それこそが、アルミみずからが定義し目指していたマリメッコというブランドのあり方。創業当初から揺るがない、新進気鋭なマリメッコの意欲とパワーは、まだまだとどまるところを知りません。
アウトレットは、希少な過去のシリーズに再会できるチャンス
路面店では見かけなくなった過去シーズンの商品がずらりと並ぶ店内。布地、衣服、日用雑貨とラインナップも充実している
レジそばの遊び道具付きレストスペースには、子供たちだけでなく奥様の買い物終了を待つ男性客も少なくない!?
また、衣服やバッグ、ベッドカバー、日用品類なども、その時どきにしか出会えない全シーズン以前の品や廃盤品がずらりと並んでいます。割引率も、同じシリーズの商品であっても色やサイズによって異なっていたりもするので、じっくりと見定めを楽しみたいところ。現行品も隣接ブースで販売されていますが、こちらはすべて通常店舗で買うのと同じ正規価格での販売です。
ファクトリーショップと同フロアにあるカフェは、デザイナーも利用する社員食堂。クロスや食器類ももちろん自社製品
マリメッコファンにとっての聖地とも呼べるファクトリーショップは、地下鉄最寄り駅からは15分ほど歩かねばならず、場所も少々わかりづらい立地ですが、滞在中にぜひとも立ち寄りたい、デザイン大国フィンランド有数のホットスポットです。
<DATA>
ファクトリーの外観は、ブランドイメージからはやや意表を突かれるモノトーン色
(マリメッコ・テヘターンムューマラ)
住所:Kirvesmiehenkatu 7, 00880 Helsinki
TEL:+358 9 758 7244
アクセス:地下鉄「Herttoniemi」駅Laajasalo方面出口を出て、右前方の交差点を渡り、高架橋の通り(Linnanrakentajantie)を直進。ガソリンスタンド手前を左折し、通り(Laivalahdenkatu)を直進。ヴォルヴォ社手前の歩行者道を右折すると、前方左手に見えてくる。駅から徒歩約15分、ヘルシンキ中央駅からタクシーで約20分
営業時間:月~金曜10:00~18:00、土曜10:00~16:00
定休日:日曜
■Maritori(マリトリ)
営業時間:月~金曜9:00~15:00(ランチは10:30~14:00)
平均価格:日替わりランチ10ユーロ(数種類ある日替わりメインディッシュから1つ選択。パン、ミニデザートは取り放題)
※フィンランド発ブランドの、お得なアウトレット店情報はこちらにまだまだあります!
※上記データは記事公開時点のものです。