2つのドア技法で「やる気スイッチ」オン!
腰の重い人にはグチや叱り言葉より、ちょっとしたテクニックが必要
こんな腰の重い人たちに、どうしたらやる気を出してもらえるでしょうか? 人の気持ちをぐっと引きつけるテクニックに、2つの「ドア技法」があります。一つは「フット・イン・ザ・ドア法」、そしてもう一つが「ドア・イン・ザ・フェイス法」です。
「フット・イン・ザ・ドア法」は、相手を説得するために、まずドアに一歩足を踏み入れてしまうという技法です。これは、訪問販売員がよく利用するテクニック。販売員は、「奥さん、話だけでも聞いて」と言いながら、まず玄関に入れてもらうことをお願いします。この小さなリクエストさえ受け入れてもらえれば、しめたもの。相手の懐に入り込めば、本命の交渉が成立しやすくなるという心理効果を、販売員はよく知っているのです。
このように、まずは小さなリクエストを提示し、それが成立したら、本命の交渉を始めるテクニックを「フット・イン・ザ・ドア法」と言います。
一方、「ドア・イン・ザ・フェイス法」は、最初に大きな要求を出し、断られた後に本命のリクエストを出して、交渉を進めるという技法。これも、有名なセールステクニックです。たとえば、最初から「一式、ン十万円」の商品を売り込んでも、目の前でドアを閉められて、門前払いをされてしまいます。しかし、セールスはここからが勝負。再度ドアを叩いて、「実は、もっとコンパクトな商品もあるんですよ」と手ごろな商品を提示すると、相手の心が動かされて交渉が成立しやすくなるという心理効果を、販売員はよく知っているのです。
このように、最初に大きな提示をし、それが断られたら、次に本命のリクエストで交渉するテクニックを「ドア・イン・ザ・フェイス法」と言います。
子どもの宿題、夫の手伝いも「ドア技法」で解決!
家事ギライなあの人をスマートに手伝わせる秘訣とは?
たとえば、「さあさあ、そろそろ宿題をやらなきゃね~」と、親がさっさと宿題を広げてしまい、「難しい問題やってるんだね! これはどうやって解くのかなぁ?」と言って、まずは最初の1問だけ解いてもらいます。それができたら、「よく分かったね! 次のは難しいかなぁ?」などとテンポよく誘いながら、次の問題に導いていきます。すると、子どもは「こんなのカンタンだよ」などと言いながら、本人も気づかないうちに、宿題を進めていったりします。ちなみに私も、自分の子どもの宿題対策によくこの技法を使っています。
また、休日にはぐーたら寝ているだけで、家事を手伝ってくれない夫には、「ドア・イン・ザ・フェイス法」で誘ってみましょう。
たとえば、ソファに寝そべる夫に、「ねえ、お風呂洗ってくれない?」と、いきなり骨の折れそうなリクエストを出してみます。面倒な仕事を押しつけられた夫は、「え~!?」と言いながら、思い切りイヤな顔をするでしょう。そのときにすかさず、「じゃあ、お風呂は私が洗うわ。その代わりに、犬を散歩に連れて行ってくれない?」と、より簡単な要求を提示します。すると、「まぁ、そのくらいならいいよ」などと言いながら、重い腰を上げて手伝ってくれるでしょう。
「ドア技法」を知ればムダな出費も押さえられる!
販売員の口車に乗らないためにもセールストークの技法を正しく知ろう
ちなみに、これらのドア技法を覚えておけば、強引なセールスや詐欺に遭遇する危険も回避することができます。私自身、この2つの技法を知り、買う気もないのにムダな出費をしてしまったキャッチセールス、訪問販売の例をいくつも思い出すことができました。そんな自分を猛烈に反省しつつ、過去の失敗に直面化できたことで、「二度と同じ目に遭わないぞ!」と、強く決意することができたのです。
「フット・イン・ザ・ドア法」「ドア・イン・ザ・フェイス法」は、身近な人とのスマートな交渉に役立ち、かしこい消費者になるためにも、知る価値のある方法です。ぜひこうしたテクニックを上手に役立てながら、周りの人と楽しく暮らし、ムダな出費を抑えてかしこく生活していきましょう。