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中小企業、個人事業主必見!平成25年度税制改正(2ページ目)

先日発表された平成25年度税制改正大綱は、大きな改正がいくつも含まれる内容となりました。今回はその中から、中小企業や個人事業主に影響する項目をご紹介していきます。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

雇用・労働分配を拡大するための減税措置

個人の所得水準を底上げする観点から、企業が雇用・労働分配(給与等支給)を拡大するための税制措置として、所得拡大促進税制が新設されます。具体的には、国内雇用者(役員及び役員の特殊関係者を除く)に対する給与等支給増加額について、以下の1、2及び3の要件を満たした場合、10%の税額控除が認められます。ただし、控除税額は、当期の法人税額の10%(中小企業者等については、20%)が限度です(所得税についても同様)。

  1.  給与等支給額が基準事業年度の給与等支給額と比較して5%以上増加していること
  2.  給与等支給額が前事業年度の給与等支給額を下回らないこと
  3.  平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないこと
(注)基準事業年度=平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち、最も古い事業年度の直前事業年度

この制度は、平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度において適用されます。また、雇用を拡大した場合の優遇税制については、既に雇用促進税制が設けられているところですが、この所得拡大促進税制は雇用促進税制との選択制となります。

その雇用促進税制についても、税額控除限度額を増加雇用者数1人当たり 40 万円(現行 20 万円)に引き上げるほか、適用要件の判定の基礎となる雇用者の範囲について所要の措置が講じられる予定です(所得税についても同様)。

その他の改正~交際費課税、研究開発税制、事業承継税制

その他の重要な改正として、ここでは3つご紹介しておきます。

まず、中小法人の交際費課税の特例が拡充されます。資本金等の額が1億円以下の中小法人(資本金等の額が5億円以上の法人の100%子法人等を除く)が支出する交際費等については現在、年間600万円までは、支出額の90%が損金算入されます。これを年間800万円以下の交際費について、その全額が損金算入とされます。適用期間は、平成25年度末までの1年間の予定です。

また、研究開発税制についても拡充措置が取られます。

試験研究費の総額に係る税額控除制度、特別試験研究費の額に係る税額控除制度、繰越税額控除限度超過額に係る税額控除制度、中小企業技術基盤強化税制及び繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る税額控除制度について、2年間の時限措置として、控除税額の上限を当期の法人税額の20%から30%に引き上げる措置が行われます(所得税についても同様)。

平成21年度税制改正において新設された事業承継税制ですが、要件の厳しさ等から、利用件数が低迷しています。そこで、適用要件の見直しや手続の簡素化を通じ、制度の使い勝手の大幅な改善が図られます。おおまかには、平成27年1月から下記のような見直しが行われる予定です。

  1. 後継者を先代経営者の親族に限定せず、親族外承継を対象化する
  2. 雇用の8割以上を「5年間毎年」維持するという要件を、「5年間平均」で評価する
  3. 要件を満たせず納税猶予が打ち切りになった際の利子税負担等を軽減する
  4. 贈与税の納税猶予における役員退任要件を、「代表者退任」に緩和し、有給役員として残留することを可能にする
  5. 経済産業大臣による事前確認制度を廃止する
  6. 債務の相続があっても株式の納税猶予をフル活用できるように、先代経営者の個人債務・葬式費用を株式以外の相続財産から控除する
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