5,000年の歴史を誇る世界遺産「古都アレッポ」
標高440m、高さ50mほどの丘に立つアレッポ城。城へ入る道はこの石橋のみ。地下に巨大な食糧庫と避難所を備え、長期の籠城が可能で、十字軍やモンゴル、ティムールの攻撃に耐え抜いた ©牧哲雄
ところが2012年、政府軍と反体制派の戦闘によってこのスークの多くが焼失してしまった。今回はこの件も含めてシリアの世界遺産「古都アレッポ」を紹介する。
古都アレッポのスーク巡り
スーク内部。石造りの天井はアーチを重ねたヴォールトやドームで支えられている。スークは増改築を繰り返しているため、場所によって造りも雰囲気も違う ©牧哲雄
スークの肉屋街。このように同じような業者が集まっている。イスラム教で禁止されている豚肉はもちろん置いていない ©牧哲雄
アラビア語で市場を「スーク」という。アレッポは紀元前から中央アジア、メソポタミア、小アジア(トルコ)、ヨーロッパ、エジプトをつなぐ交通の要衝として繁栄し、商人たちはキャラバンサライ(隊商宿)に泊まり、世界各地から持ち寄った名産品をこのスークで売り買いした。
スークには1,500軒を超えるといわれる商店がひしめき合っていて、あらゆるものを売っている。これを見て回るのが最高に楽しいのだ!
アレッポ石鹸屋。オリーブ・オイルやローレル・オイルの質と含有料でグレードが決まる ©牧哲雄
ビックリといえば下着売り場だ。中東では女性はヒジャブと呼ばれるベールで頭を覆い、体の線が出ないようにコートを羽織っている人が多い。黒いベール=ブルカで全身を覆う女性も少なくない。でも、下着売り場にはやたら露出の多い下着や電飾でピカピカ輝いているものさえ売っている。……なんだかとても親近感が湧いてくる。
そして石鹸。メソポタミアはオリーブとローレルの原産地。紀元前2000年頃には、これらのオイルに木の灰を加えて石鹸を作っていた。アレッポ石鹸は現在でも添加物や香料を使用せずに製造する。石鹸屋にはアレッポ石鹸が数十種類も並んでいて、大きな塊を好みの大きさにカットして売っている。これで身体を洗うと本当にツルツルになるのだ!