フィンランド/ヘルシンキの観光・お土産

『かもめ食堂』ロケ地めぐりの楽しみ方(4ページ目)

映画『かもめ食堂』をきっかけにフィンランドという国を知った、どっぷりハマった……という人は少なくないはず。『かもめ食堂』ロケ地めぐりは、今やヘルシンキ観光の定番コース。ロケ地情報も本やネットにあふれていますが、ただスポットに立ち寄るだけで満足するのはもったいない!そこで、撮影地のロケーションを紹介するだけでなく、より映画の空気を味わうための楽しみ方についてもアドバイスを加えてみました。

こばやし あやな

執筆者:こばやし あやな

フィンランドガイド


都心の古き良きリラクゼーション施設、ウュルョン通りのスイミングプール

スイミングプール

サチエさんがよく泳ぎに来ていたこのスイミングプールは、なんとヘルシンキのど真ん中にたたずむ、フィンランド最古のスイミングプール

映画の中でサチエさんが何度か泳ぎに来ていた、ややレトロな柱や床の雰囲気が印象的なこのスイミングプール、実はヘルシンキの繁華街のど真ん中に実在するのです!

「ウュルョン通りのスイミングプール(Yrjönkadun uimahalli)」と名のついたこのプールは、なんとフィンランド最古にして、往時の姿をとどめたまま現存するとても貴重な市民プール。これまでの修復工事のたびに、建築資材や色合いが当時のまま再現されているといいます。プールは現在ヘルシンキ市が管轄しているものの、もちろんヘルシンキ市民でなくとも、誰でも気軽に立ち寄ることができます。

外観ロゴ

入口には、やや目立たないがスイミングプールであることを意味するuimahalliのレトロなロゴが健在

ヘルシンキの中心街にこの市民プールがオープンしたのは、なんと1928年のこと。施設内は、1920年代に北欧で流行った古典主義の様式に彩られていて、少しわかりにくい路地角にひっそりたたずむ建物の入口にも、レトロな看板やロゴが残っています。市民プールと言っても、ここはただジムのように泳ぎに来るためだけの施設ではありません。ジムというよりはむしろスパの原型といったほうが適切でしょうか。館内には、25mスイミングプールのほかに、数種類のサウナやマッサージ室(マッサージは要事前予約)、カフェサービスなどがあり、上乗せ料金を払えばカーテンで仕切られた簡易個室を借りることもできます。

さらにこのスイミングプールの驚くべき特色は、なんと「水着を着なくてもOK」であること!! 実は、公衆衛生が不十分であった20年ほど前までは、水着はバクテリアを繁殖させてしまうからとむしろ「着用禁止」されていたのです(今でもサウナ内は水着着用禁止)。現在では、水着を持参する人と、往時のしきたりに倣って裸のまま泳ぐ人の割合は半々くらい。もちろん、曜日ごとに男性の日/女性の日が分けられているので、温泉のように、異性の目を気にせず堂々と素っぱだかで泳ぐことが可能なのです!

汗を流すか、一息つくかは、お客さん次第

カフェメニュー

市民プールといえどもカフェで提供される料理のクオリティは抜群! レトロさを感じながら、現代人もゆったりとリラックスできるとっておきの場所だ

プールではしっかり泳ぐもよし、ただぷかぷかと浮かんで身体をのんびりさせるもよし。焼け石に水をかけるフィンランドサウナではじっくりと身体を温めて老廃物を追い出し、良い汗をかいた後はプールサイドのベンチに腰掛けて、さっぱりとしたドリンクや、市民プールとは思えない見事なクオリティのご飯メニューをいただきながらくつろいで……。

シーマ

フィンランドのメーデーの際に飲まれるシーマという独特の飲み物も、ここでは年中味わえる

このように、スイミングプールを利用する人の目的はさまざま。場所柄、仕事を終えた人たちや買い物帰りの人たちもたくさん立ち寄り、つかの間のゆったりとしたリラクゼーションタイムを楽しんでから各々の家路に戻っていくのだそうです。

また、フィンランド軍の最高指揮官として数々の戦争を指揮し、一時期大統領にも就任したかのマンネルヘイム氏も、このプールの愛用者の一人だったといい、敷地内の一角には彼の専用小部屋が残っています。今日ではビジネスマンや政治家たちの利用も多く、大事な商談の際にお相手をここに招いて、裸の交流で話を円滑に進める……というやり方も根付いているのだとか。

個室

ベッドと小物置き場があるだけの簡易個室だが、今も昔もちょっと身体を休めるにはこれくらいで十分!

2階の個室利用者は、2時間制で専用部屋が借りれるほか、タオルやバスローブも貸してもらえます。また、個室を利用しない場合でもカフェメニューの飲食は可能。

残念ながら夏の間は毎年長期休暇に入ってしまいますが、ヘルシンキの繁華街でふっと身体を緩めたくなったら、あるいは公衆サウナを体験してみたいなら、観光者でも利用価値の高い、おすすめの民間スポットです。曜日ごとに男女がきっちり分かれているのには気をつけて。

 

<DATA>
Yrjönkadun uimahalli(ウュルョン通りのスイミングプール)
住所:Yrjönkatu 21b, 00120 Helsinki
TEL:+358 9 310 87401
アクセス:ヘルシンキ中央駅から徒歩8分
営業時間:女性の日は、月曜12:00~20:00(個室利用は不可)、水・金曜6:30~20:00(個室利用は13:00~)、日曜11:00~20:00(個室利用は13:00~)
男性の日は、火・木曜6:30~20:00(個室利用は13:00~)、土曜7:00~20:00(個室利用は13:00~)
定休日:なし(5~8月は夏季休業)
カフェ営業時間:火~土曜13:00~21:00、日曜14:00~20:00
利用料金:ロッカー・個室利用有無により5.5~14ユーロ(小人割引あり)
※個室利用者のみタオル、バスローブの貸与あり

最終ページでは、お待ちかね『かもめ食堂』の舞台レストランの魅力とオーダーシステムをご紹介!
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