「履き心地」に最もシビアなドイツで開業!
靴職人に限らず、ものづくりに携わる人にとって自らの工房を持つのは、いつの世も憧れです。その一方で自分の実力を海外、特に審美眼の厳しいヨーロッパで試してみたいと思うのも当然でしょう。両者を実現するには当然、その人に類稀なる才能と不屈の努力そして異文化に容易に溶け込める社交性が備わっていなければならず、決して簡単なことではありません。が、それを靴作りの世界で見事にやってのけた人物が出て来ました。それが今回ご紹介する早藤 良太(はやふじ りょうた)氏です。ここ10年以上紳士靴に興味を持ち続けている方なら、彼の名を聴いてピンと来る方も多いでしょう。ヨーロッパ各国での長年の修業を経て昨年、2012年の春にドイツ南部の大都市・ミュンヘンで自らの名のビスポークシューズ工房を遂にオープンさせたのです。
同じく早藤氏のオーダーサンプルから。内羽根式ながらコバを僅かに広く取り、アウトソールの土踏まず部も敢えてベベルドウェストには仕上げていないので、やや重厚な印象です。しかし粗野な雰囲気とは全く無縁です。
次のページでは、早藤氏のプロフィールと彼の靴の特長について!