相応の縮小と危険な前年並み
3DSへの世代交代が終わり、ここからの数字は今後のゲーム市場を占うものになります。(イラスト 橋本モチチ)
DSのピークである2007年から、ニンテンドー3DS(以下3DS)が発売される2011年まで市場が下がり続けるのはゲーム業界の流れとしては当然で、これを4年連続市場縮小でゲーム業界ピンチ、と捉えるのはちょっと的がずれています。2011年の市場規模が約5,000億円で、PS2時代よりはいいんですね。
一方で、2012年はほぼ前年並みという状況ですが、縮小していなければいいかと言えばそんなことはなく、トップハードであるDSと世代交代した3DSが軌道に乗っているのに市場規模全体では上向きにならないということで、やや危険な状態です。
3DSの現状はどうかといいますと、DSの普及速度にくらべると2ヶ月程度遅れてはいますが累計普及台数1,000万台に到達、順調な普及と言えます。2013年は、ドラゴンクエストVII エデンの戦士たちのリメイク、「トモダチコレクション」、「モンスターハンター4」、「ポケットモンスターX・Y」と、柱になるタイトルも揃っていますから、さらに拡大していくことが期待できます。
3DSが好調なのに何故市場が伸びないのかと言えば、3DSのライバルハードであるPlayStationVita(以下PSVita)が大苦戦していまして、PSPが末期に入り市場が小さくなる中、PSVitaの累計普及台数は約110万台にとどまり、その穴を埋めることができていません。結果的にゲーム市場全体で前年並という状況で停滞しています。このままPSVitaが苦戦を続けると、DSとPSPが両輪でささえていた携帯ゲーム市場の拡大は、前の世代に比べて相当に困難になるかもしれません。
まとめると、ここ数年ゲームの市場規模は減少傾向にあるんですが、それをもってゲーム業界が縮小しているというのは妥当ではありません。しかし、2012年に市場が拡大しなかったのは危険な兆候である、ということですね。冒頭にお話した通り、スパッと言い切れない歯切れの悪い状況になっています。
これから、据え置きハードも世代交代がはじまる時期に差し掛かってきました。先頭を切って2012年12月に発売されたWii Uはもちろん、PlayStation3とXbox360の後継機がいつ登場するのか、そしてそれらはどのような市場を作るかも大きなポイントになるでしょう。
そして2013年、2014年と、市場規模が成長するのか、収縮するのか、停滞するのかこそ、コンシューマーゲームというものがどうなっていくのか、その未来を占う数字となりそうです。
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