今回は口臭のメカニズムや原因、予防対策について審美歯科医師の目線で説明・アドバイスをさせて頂きます。
歯垢が臭う!
口臭を気にしている方の中で、この悩みを持たれている方が結構いらっしゃいます。この間、ある患者さまから相談を受けました。その方は歯磨きタイムの際に、毎回デンタルフロスを使用し、歯の隙間など隅々までケアをされています。その努力の甲斐もあり、歯もツルツルで、歯ぐきもピンクで健康的。そんな患者さまが「歯ブラシをする際にデンタルフロスを使用しているのだけど、歯の隙間を通したデンタルフロスの臭いがとてもくさい。私の口臭はそんなにくさいのかしら……」と悩みを打ち明けてくださいました。たしかにいくら歯ブラシで口の隅から隅まで磨いたとしても、歯と歯の間の細かい歯垢はデンタルフロスでしかとれません。また、歯垢は食べ物のかすによって細菌の塊となります。よって、普通に食事をしている人でしたら、歯の隙間に歯垢が付くのは当たり前です。
しかし、その歯垢が臭ったからと言って、口臭に影響を及ぼすかどうかはまた違う話になります。なぜかと言うと、人と人が話す時に、歯の隙間の臭いをかぐ程近づくという事はほぼありませんね。歯垢は誰のものでも不快なにおいを放ちますが、歯と歯の間にあるほんの少しの歯垢でしたら、普段会話をする際には問題ではないでしょう。歯垢が無い人も臭わない人も一人もいません。もし歯垢が臭うと悩んでいる方は、安心してくださいね。
そもそも歯垢って何?
歯垢は一言でいうと“細菌の塊”です。1mgの歯垢にはなんと300種類~10億個の細菌が棲みついています。色は黄白色をしていて見た目にはわかりにくいですが、歯を爪で触ってみてネバネバしていたら歯垢が付着している可能性が高いですね。歯垢の素となるのは、歯の表面にある薄い膜によるもの。この膜は誰にでもあるものなのですよ。この膜に食べ物の糖がくっつき歯垢となります。また、糖がくっついた歯垢は、食物中の糖分を栄養源にしてどんどん増え続けます。口の中で細菌が増えているのを想像するとおぞましいですね。歯垢は歯だけではなく歯の周りにも強力に付着して、後に歯槽骨や歯根膜を溶かしていく歯周病の原因や口臭の元となるのです。自分の歯にどの程度の歯垢が付いているのかは、市販の「プラーク染色剤」といった歯垢を赤く染めだす液を使用すると良いでしょう。