2012年以降 FX税制が一本化されるとどうなる?
2012年1月からのFX取引は、店頭及び取引所の両方の取引において、所得税15%・住民税5%の税率が課税される申告分離課税に一本化されるとなると、店頭取引のFX課税も雑所得のマイナスとはならず、「先物取引に係る雑所得等」のマイナスとなるということです。したがって、FX課税全体が「先物取引に係る雑所得等」の取り扱いとなるため、以下の点がポイントとなるでしょう。
- 通常の雑所得とはならず、差金決済による差損が生じても、他の所得との損益通算の対象とはならない
- 「先物取引に係る雑所得等」なので、「先物取引に係る雑所得等」内での損益通算および繰越控除は可能である
- 超過累進税率により税額を求めることなく、所得税15%・住民税5%の申告分離課税となる
2012年以降、FX取引の確定申告で注意するポイントとは
これらのことを踏まえると、2011年以前、取引所取引についても差金決済による差損が生じた場合には、2012年以降、取引所取引についてのみならず、店頭取引について差益が生じた場合にも、繰越控除の対処として利用できることにあります。下記の図を参照に、時系列に見ていきましょう。2010年に取引所取引で生じた差損は繰越控除の対象となるので、翌年の取引所取引で生じた差益とは差し引きできます。つまり、2011年終了時点で差し引ききれない損失がまだ50万円残っています。
ここで2012年に取引所取引で生じた差益が30万円であった場合には、従来の税制でも差し引きできました。ところが店頭取引で生じた差益が30万円であった場合、差し引きできるのかという箇所がポイントです。
これに関して、2012年以降は店頭取引についても、取引所取引についても「先物取引に係る雑所得等」に区分されるため、差益が生じた場合の取り扱いに差がありません。したがって、取引所取引についてはもちろんのこと、店頭取引で生じた差益についても差し引きすることが可能です(この事例では、差し引き後のマイナスがまだ10万円残っています)。
取引所取引での差し引ききれない差損が残っている場合には、ぜひとも確定申告しておきたいところです。
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