華麗なシルエットに日本人特有の丁寧さが加わる!
奥山 大氏が個人的に一番好きなスタイルが、ご覧のようなホールカット系の靴です。シュッと伸びたつま先を上手く造形するのには、釣り込む過程も困難を極める筈。もちろん他のトウシェイプのリクエストにも応じてくれます。
また、奥山氏自身の一番のお気に入りは、それと同様にオーダーの多いホールカット系の靴。他の靴に比べ、木型の形状が靴の形により直接的に反映し、アッパーの釣り込みや革の取り方も遥かに大変ながら、一足一足の表情の違いから来る完成時の充実感がたまらないからだそうです。ご存じの通り香港は湿気が高いため、靴の成形のみならず革の保管や他の部材の品質維持に、日本に比べ遥かに気を遣わざるを得ないのは明らか。だからこそ無事完成できた時の喜びもひとしおなのでしょう。その湿気を通し難いと共に、軽量ながら割れや狂いが少なく、万が一の火災の際にも発火が少ない桐箱に入れての納品も、最後の最後まで妥協しない日本人らしい細かな気配りとして非常に人気なのだとか。
奥山氏一人で製作しているため、今のところ現地でオーダーすると平均で仮縫いまでに約半年(アッパーは本番のものと同じ固体の革の別部位で作製し、底を軽く接着した状態で行います)、そこから完成までに約半年の合計約一年掛かり、通常の牛革を用いる場合、価格は3分割式のシューツリー込みで3万8000香港ドルとなります。2010年には権威あるドイツの国際的な靴コンクールのカスタムメード部門で金賞を獲得した凄腕の噂を聞き付け、直近では中国本土やアジア各国の富裕層からのオーダーも増えているようです。
日本でも早く受注会が出来るよう準備中とのことですが、待ちきれない方はまずは香港に仕事や観光に行かれた際、その実力をお試しになられてみて下さい。なお、2013年の3月までは、パリの名門紳士靴店・AUBERCYのRue Vivienne店でも、販売・受注こそしてはいませんが彼の靴が展示されています。ご存じの読者も多いでしょうが、このお店を経営するXavier AUBERCY氏は今日のパリの紳士靴界の「顔」であり、その彼に実力を認めてもらえた意味は非常に大きいです。この冬パリに行く機会がある方も要チェックですよ!
【問合せ先】
MASARU OKUYAMA
13/F Goodfit Commercial Building, 7 Fleming Road, Wan Chai
Hong Kong
TEL : +852-2413-3999
HP(英文です) : MASARU OKUYAMA
最初のページの靴を真上から撮ったのがこちら。鳩目周りの線が外くるぶし側と内くるぶし側とで大きく異なっているのがお解りでしょうか? 足の形状と動きに合わせたものですが、前から見ると全く違和感を覚えないのが驚きなのです!