異国の地で、見事に開花!

MASARU OKUYAMA 1

居住先の香港で奥山 大氏が創り上げるMASARU OKUYAMAの靴です。曲線と直線の太さやバランスが絶妙で、伸びやかな印象を有しています。アッパーのアウトソールからの立ちあがり方は、何処となくフランス靴的な雰囲気。

とある靴学校の修了・卒業展は、冬の終わりを告げてくれる一つの風物詩。一人一人の学生さんが精魂込めて作り上げた靴が数多く並び、彼らがどんな靴に理想を求めるかを垣間見ることができる貴重な機会です。そしてその「理想」が年ごとに微妙に変化して行くのが、世の中の動きと連動するようで興味深かったりもします。

数年前のその展示会でのこと。繊細な印象の作品が多い中にあって、一足だけ、ドレスシューズながら(確かサイドモンクストラップだったかな?) 他のものとは全く異なる緩急に富んだ線で構成された靴が目に付きました。全体的な完成度もなかなかのもので、感想を求められたアンケートに「自らの美意識に自信を持って、今後も靴作りを続けて下さい!」みたいなことを書いた記憶があります。肝心の作り手の方がその場にたまたま不在で、直接お話ができなかったのが心残りだったんだよなぁ……。

MASARU OKUYAMA 2

上の靴の鳩目部分をアップで撮ってみました。一つ一つの線の位置や傾きに、無駄なものが一切見られません。伸びる所で伸び、曲がる所で曲がる…… 言葉では簡単に言い表せますが、形にするのは至難の業なのです。

ところが運命の糸の手繰り寄せとはこんなことなのか! 記憶が殆ど薄れていた今秋、この靴の作り手と遂にお目に掛かる機会が得られたのです。場所は東京ではなく自分がサラリーマン時代の半分を過ごした神戸、しかも聞けば彼は今、私自身が20代から30代前半に頻繁に旅した香港でビスポークシューズのアトリエを開いているとのこと。これはもう、ご紹介しない訳にはいきません。と言うことで今回は、昔も今もアジアのクロスポイント・香港で孤軍奮闘する奥山 大氏が創るMASARU OKUYAMAの靴達を採り上げます!

なお、奥山氏との再会並びにこの記事の取材は、神戸の六甲アイランドにあるテーラー・石田洋服店様の多大なるご協力により実現したものです。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。


いや、でもなぜ香港? その答えは次のページで!