日本酒/日本酒関連情報

酔っ払いでもわかる「國酒」「國酒プロジェクト」(2ページ目)

今年平成24年5月、国家戦略担当大臣により、日本酒と焼酎が「國酒」となり、それを後押しする「國酒プロジェクト」が発足した。この「國酒」とはいったい何なのか。日本酒ファン・焼酎ファンにとってどのような意味があるのかを探ってみた。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

「國酒プロジェクト」、3つのミッション

とっくり

さしつさされつ、これが國酒の正式マナー

國酒を一気にメジャーにし、海外でたくさん飲んでもらう、日本に来て地元で楽しんでもらうことを目的とする、機関というのか、チームというのか、概念というのかが「國酒プロジェクト」である。

プロジェクトの目的は3つ。

1、成長戦略
海外の日本食ブームとともに、海外で國酒をもっと飲んでもらうこと。

2、地域活性化
國酒や食を目的に、海外からたくさんの観光客に来てもらうこと。“地元”で國酒を飲んでもらうこと。各地域の酒蔵や温泉・宿を旅する「酒蔵ツーリズム」を体験してもらうこと。

3、日本文化の振興
國酒やそれにまつわる食の魅力をもう一度見直すこと。

ソーダ割り

さわやかな焼酎はソーダや水で割ればアペリティフにもなる

これを官民一緒になって推し進めようというのが「國酒プロジェクト」である。とにかく、日本人が國酒を飲まなくなってきている。もとはそこが大問題なのであるが、ならば、日本食が人気となっている海外で國酒をもっと飲んでもらおうと考えるのは当然の成り行き。

また、やり方によっては、フランス料理にイタリアン、中国料理にエスニックまで、國酒は、実にバラエティー豊富に、柔軟性を持って提案できる酒でもある。

たとえば、生ガキに辛口の純米吟醸、ボッタルガ(からすみ)のパスタに山廃純米、白カビチーズには甕寝かせの米焼酎、フカヒレの姿煮には日本酒古酒、フルーツタルトには大吟醸、チョコレートには樽熟成の麦焼酎といった具合にだ。

チーズ

最も効果的な組み合わせはチーズとだ

また最近では、日本酒・焼酎のおいしさを知り、本場で酒を飲んでみたいと考える外国人が増えてきている。そう、日本のワインファンがわざわざフランスやイタリア、カリフォルニアのワイナリーまで行って、片言の言葉でワインを購入し、地元郷土料理店でワインを注文するのと同じことだ。

ニッポンの國酒だってそれができるはず。つまり、國酒は、海外からのお客様を呼べる「観光資源」といえるのだ。各地の観光地に國酒目当ての観光客が増え、國酒の売り上げが向上し地域も活性化すると、長い目で見れば、原料の使用量が向上し、よりいい原料を作ろうという農家が増えることにもつながるだろう。


プロジェクトの陰に問題点

料理

日本料理と共同歩調をとる日本酒

しかし、問題点も見えてくる。

まずは、日本酒・焼酎の定義だ。日本人にもわからない複雑な表示や種類に酒税法。純米酒と本醸造の違い、甲類・乙類・混和焼酎の違いをどう説明するのか。品質やブランドに厳しい外国人が見ると困惑するし、輸出入の大きなネックにもなっている。

また、お客様を迎えるためには、蔵やその周辺、宿泊施設に飲食店。大中小範囲のオペレーションにインフラを含めた「お迎え体制」をしっかり整える必要がある。「酒蔵ツーリズム」という響きは魅力的だけど、お勧めの酒の説明ができないスタッフや間違った品質管理、連携のとれていない蔵や宿、交通の便の悪さ(これは逆に魅力になることもあるが)などなど少し見回すとすぐに浮き出てくる問題点がある。

これらを解決するには時間がかかるだろう。

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