子供の教育/考える力

子供の教育・幼児教育には何をする? 能を伸ばすポイント

幼少期から習い事をしている家庭が増え、子供に「何歳からどんな習い事をさせたらいいのか」と悩んでいる人は多いもの。幼児期に、ご家庭でできる幼児教育についてご紹介します。コミュニケーション力や好奇心を育てるのがポイントです。

籔 孝昭

執筆者:籔 孝昭

学習・受験ガイド

就学前の教育・育児は重要

4歳児などの教育方法は?

就学前の過ごし方がその後の教育にとって重要

幼少期のお子さんがいらっしゃる保護者さまの関心ごとは、「どういった幼児教育を何歳から始めさせたらいいのか」ということではないでしょうか。格差が広がるばかりの社会で子供の将来を考えると、より良い環境で、質の高い教育の機会を与えてあげたいと思うのは、親の自然な気持ち。では、どうすれば「将来に役立つ能力」を育てることができるのでしょうか。

ノーベル経済学賞のヘックマン教授は、「3、4歳の時期に適切な教育を受けなかった子どもは、教育投資の効果が小さくなり、学習意欲を高めることは難しく、効果は限定的なものになる」と、科学雑誌『Science』で発表しました。「三つ子の魂百まで」という言葉があるように、就学前の育児・教育が重要なポイントだと言えます。

就職内定率の低下や失業率の悪化など、子どもを取り巻く将来の不安が広がっており、これからの人材には、単なる学力ではなく、異なる価値観や文化をもつ人とのコミュニケーション力や、チームで活動する人間力、そして将来像を描いていま何をするかを考えて行動する力が求められています。
 
<目次>
 

「文字の読み書き」よりも「コミュニケーション力」や「考える力」を

最近は、幼児教育が一般的になっており、多くのご家庭で幼児期に「文字の読み書き」に取り組まれているようです。しかし、幼児期における早期教育で代表的な「文字の読み書き」については否定的な研究者が多く、お茶の水女子大学の内田伸子教授(発達心理学)によれば、「3歳での『読み書き』能力は、親の所得や教育投資額が多いほど高かったものの、小学校入学前には『読み書き』能力の差は消滅した」とのことです。

幼児期に文字の読み書きができれば、親の満足度は高まるでしょうが、小学校1年生から読み書きを習い始めたとしても、誰もが普通に読み書きができるようになることを考えると、「文字の読み書き」の幼児教育の効果は限定的ですし、コミュニケーション力や「考える力」を育てることはできません。

せっかく、幼児教育に取り組むのであれば、教育の効果をその時点で判断するのではなく、将来における効果によって判断すべきです。
 

子供の教育において、語彙力と考える力は家庭で育める

小学校低学年までは学校の授業についていけても、高学年から学習が遅れる児童が多いのですが、その原因は二つ挙げられます。

一つ目は、語彙力の不足。語彙力が不足していると、授業で聞く言葉の意味をイメージできないため、授業の内容を理解できなくなるのです。

二つ目は、考える力の不足。小学校高学年になると、文章題など考える問題が増えてきます。考える力や経験が不足していると、難問を目の当たりにすると、解こうという気持ちが萎えてしまうのです。

コミュニケーションの土台となる語彙力や考える力は、親子の会話のやりとりを通じて、子ども自身が考えて判断する経験を通して豊かになります。所得や教育投資額に関係なく、お子さんとの楽しい経験の共有を大切にする家庭では語彙力が高くなる傾向があります。また、お子さんが考える時間を大切にしている家庭では考える力が育まれます。
 

好奇心はすべての学びの基礎、子供の好奇心を子育てで刺激しよう

子どもにとって、知ることによって世界が広がるということは、非常に楽しい経験です。その楽しさを発展させることも教育なのです。本来、子どもは好奇心旺盛ですが、周りの大人が邪魔をすることで子どもが臆病になり、積極的に動くことをやめてしまいます。しかし、好奇心はすべての学びの基礎。基礎だから見えないし、形にはなりません。けれども、その好奇心は中学1年くらいまでにしか育ちません。好奇心は毎日の生活の中で養われるものであり、小さい頃から家庭の中で育まれるものなのです。

難関中学に合格しご家庭では、「昆虫への関心が強かったので、自然教室に参加させた」「電車や恐竜に興味があったので、博物館や発掘現場に連れていった」など、知的好奇心を刺激する取り組みをされておられました。一見、「遊び」と思うようになることでも、子どもに刺激を与えるのです。このように、親の関わり方によって子どもを伸ばすことができます。
 

子供の教育では、習い事やスポーツももちろん有効

しかし、家庭だけで教育をするのは不安と思われるのであれば、幼児教室や習い事を利用しましょう。文部科学省の「子どもの学校外での学習活動に関する実態調査」によると、約7割の小学生が習い事をしています。

幼少期に習い事やスポーツなどに取り組むことは、人間形成上大切ですし、知的好奇心の刺激も期待できます。一方で、幼児教室については注意が必要です。幼児教室の中には、専門知識を持たない先生や、自分の子どもが有名学校に合格したというだけで、幼児教室を開校する人さえいます。

幼児教育の場合には、テストなどでの学習効果の測定が困難なため、信頼できる幼児教室を選ぶことが大切です。

前述しましたように、幼児教育の効果は、幼児の時点の習得能力ではなく、将来(小学生以降)にどれだけ好影響があるかによって判断すべきです。

将来に活躍できる総合力を育てるための幼少期のポイントは、自然体験などの遊びを通じて知的好奇心を刺激し(「よく遊び」)、勉強する習慣づけをする(「よく学ぶ」)ことです。

本テーマ『子供の教育』サイトでは、「よく遊び」「よく学ぶ」と、これらを支える「生活習慣」について、幼少期で取り組んでいただきたいことをこれから紹介していきます。

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