誰もがクルマを楽しめるドイツのテーマパーク、アウトシュタット
<目次>- 大人も子どもも楽しめるアトラクションがいっぱい
- カーマニア垂涎の名車がずらり!
- 800台の車が待つ納車センター「カータワー」
- フォルクスワーゲンで車よりも売れている?!名物ソーセージ
- レストランも盛りだくさんでレベル高し!
- 世界で最も男前で優しいリッツ・カールトン
車の国ドイツを代表するブランド、フォルクスワーゲン(以下VW)が本社を構えるヴォルフスブルクは、ベルリンから新幹線ICEで約1時間、北部ドイツ・ハノーファーの約90km東に位置する街。かつては自動車産業の地味なイメージが強かったヴォルフスブルクですが、2000年にVWのテーマパーク「アウトシュタット(自動車の町)」が誕生して以来、国内外からたくさんの旅行者が訪れるようになり、今や一日の平均来場者が6千人というドイツでも屈指の人気観光地となっています。
28ヘクタール(東京ドーム約6個分)もの広大な敷地には、車の博物館のほかVWグループ傘下の各ブランドのパビリオン、車の博物館、ホテルやレストランまで完備。様々なアトラクションが用意され、季節ごとの展示やイベントも開催されます。運河に囲まれたパーク内は、緑豊かな自然のなかに有名デザイナーや建築家とコラボレーションした建築物やオブジェが点在しまるごと現代アート美術館のよう。バラエティに富んだレストランでは有機認定を受けた新鮮な料理をいただくことができます。アウトシュタットはカーマニアはもちろん、アート好きからグルメ、家族連れなど誰もが楽しめる体験型テーマパークなのです。
大人も子どもも楽しめるアトラクションがいっぱい
アウトシュタットの入口となる「Konzern Forun(グループフォーラム)」は各種アトラクションや展示、レストランやショップなどが入るメインの建物。ここではVWの品質や安全性、社会的責任、環境意識といった企業理念を楽しみながら知ることができます。アウトシュタットが掲げるテーマの一つが「サステナビリティ(持続可能性)」。中に入るとまず目に飛び込んでくる大きな地球儀。その下のガラス張りの床に埋め込まれたたくさんの地球儀には、各国の車の生産数、地雷の場所、地球の砂漠化など、車を取り巻く環境や地球が抱える問題が記されています。そのほか自分で車をデザインできるコーナーや環境に優しい燃料作りを体験できるブースなど、大人も子どもも楽しめるアトラクションが充実。体験ドライビングでは子ども向けのコースもあり本物そっくりの運転免許証を発行してもらえます。
カーマニア垂涎の名車がずらり!
アウトシュタット内にはVWをはじめグループ傘下のアウディ、ポルシェ、ランボルギーニなどの独立したパビリオンが建ち、各社が趣向を凝らしてアピールしています。車の博物館「Zeit Haus(タイムハウス)」では、世界初のガソリン自動車であるベンツの三輪車やキャデラックにシトロエン、ジョン・レノン特注のVWビートルなどなどカーマニア垂涎の歴史的名車がずらり。世界で一番来場者数の多い自動車博物館というのも頷けます。800台の車が待つ納車センター「カータワー」
高くそびえたつガラス張りの2つの塔はアウトシュタットのシンボルともいえる「Auto Ture(カータワー)」。この塔の中には、納車を待つ新車約800台が保管されています。「カータワー・ディスカバリー」は、(車と同じように)タワー内部のコンテナに乗って運ばれるアトラクション。展望台からはアウトシュタットが一望できます。ドイツでは購入した車を本社工場で直接引き取る事ができるのですが、アウトシュタットは一日に約500台もの新車の受け渡しが行われる世界最大の自動車デリバリーセンターとなっています。じつはこれがVW社の大きな目的。新車を受け取りに来る顧客に思い出に残る特別な体験を提供したい、という思いからこのアウトシュタットが誕生したのだそう。納車の前日にテーマパークでめいっぱい遊んで、パーク内にある5つ星ホテル「リッツ・カールトン」に泊まり、翌日は待ちに待った新車との対面。納車を一大イベントに仕立てるための工夫が随所にちりばめられ、スタッフみんなでサポートしてくれるんです。車という大きな買い物をした購入者にしてみれば、こういうサービスは嬉しいものですよね。
じつはガイドも先日初めてこの「納車プラン」を体験したのですが、想像していた以上に楽しくて「もう1回やりたい!」と思ってしまうほど感動しました。頻繁に体験するのは経済的に難しそうですが(笑)、ほんとうのクルマ好きなら興奮しすぎてどうにかなっちゃうんじゃ?! というくらい盛り上がる内容。こんな特別体験ができて近所のディーラーで受け取るよりも安いのですから、遠方からわざわざピックアップしにくる人が多い訳ですね。
フォルクスワーゲンで車よりも売れている?!名物ソーセージ
フォルクスワーゲン(以下VW)のテーマパーク「アウトシュタット」では、自動車ばかりでなく、ある食べ物が人気を博しています。それはドイツ名物としておなじみのソーセージ。じつはVWには1970年代からソーセージの生産を開始した食肉加工部門があるのです。あの主力車の「ゴルフ」よりも長い歴史があるというからびっくり。当初は社員の食事用としてつくられていたソーセージですが、現在は近隣のスーパーや地元サッカークラブVfLヴォルフスブルクのスタジアムでも販売。アウトシュタットではカスタマーセンター内にある社食風レストラン「TACHOMETER」でカリーヴルスト(カレーソーセージ)が食べられます。地元産の信頼できる豚肉を使用し人工調味料は不使用、脂肪分は通常の半分以下などこだわりぬいてつくられたソーセージに、ここではVWオリジナルのケチャップを使用したカレーソースのほか、野菜たっぷりのラタトゥイユソースでもいただけるという幸福。世界中のカリーヴルスト愛好家が「一度は食べてみたい!」と憧れるのも納得の美味しさです。
カリーヴルストについてはこちらの記事をどうぞ>>>本場ドイツで人気のソーセージはカレー味!?
レストランも盛りだくさんでレベル高し!
テーマパーク内のレストランというと、味はいまひとつ……ということが多いですよね。だけどここは例外。アウトシュタットは「食」に対してとても真摯なテーマパークです。パーク内のレストランでは「フレッシュフード」をモットーに、地産の新鮮なオーガニック食材を使用。上記の名物ソーセージのほかにも、気軽なカフェやビュッフェスタイルのフードコート、ステーキレストラン、イタリアンやフレンチなど盛りだくさん。食事を目的にアウトシュタットに行く人もいるほど評判が高いんです。さらに、アウトシュタット内にある5つ星ホテル「リッツ・カールトン」には、ミシュランの3つ星を維持するレストラン「アクア」が。世界トップレベルと評判の味を求めて、グルメたちがはるばるやってくる名店です。
レストランの記事はこちら>>>車の街の3つ星レストラン・アクア/ヴォルフスブルク
世界で最も男前で優しいリッツ・カールトン
世界中で展開する高級ホテル・チェーン「リッツ・カールトン」。そのゴージャスさは広く知られるところですが、アウトシュタット内にあるリッツは他とはずいぶん趣が異なります。ロビーラウンジの窓の外に広がるのは、運河を挟んで対岸にVWの工場群と火力発電所というじつに男前な風景。一見無機質な背景も含めてホテル全体をアートに仕立てあげたデザイナーのアンドレ・プットマンの手腕は、ホテル愛好家はもちろん建築やアート好きなら一見の価値あり。あまりのかっこよさに思わず唸ってしまうことでしょう。お酒好きならぜひ、バーでヴォルフスブルク産のジンも堪能してください。ここでしか飲めない格別な味です。このホテルのもう一つの大きな特徴が、宿泊客の多くがフォルクスワーゲンの「納車パッケージプラン」の利用者ということ。ハレの日を楽しむ、良い意味で「普通のお客さん」が多く、お洒落な高級ホテルにありがちな堅苦しさがないのが個人的にはとても気に入りました。ホテル建物のデザイン(包み込むようなU形)が表すように、アットホームで温かい雰囲気に包まれ心身共にリラックスして過ごすことができます。
とにもかくにも、アウトシュタットは間違いなく唯一無二の場所。きっと忘れられない体験ができることでしょう。
■リッツ・カールトン・ヴォルフスブルクHP
取材協力:ドイツ観光局
<DATA>
■Autostadt
住所:StadtBrücke 38440 Wolfsburg
TEL:0800-288678238
営業時間:9:00~18:00 12/24と12/31休み レストランは店舗ごとに異なる
入場料:1日券 大人15ユーロ、2日券 22ユーロほか
アクセス:ヴォルフスブルクまではフランクフルトから新幹線ICEで約3時間、ベルリンから約1時間。ヴォルフスブルク駅から徒歩7分
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