ストレス/仕事・職場のストレス(パワハラ・セクハラ等)

若者に急増!「就活うつ」を防ぐ3つのヒント

企業の採用人数が減少するなか、何度も繰り返す就活の失敗を機にうつ病化していく若者が増えています。「就活うつ」を防ぐために、参考にしていただきたい3つのヒントをお伝えします。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

就活を機にうつ病化する若者が急増している

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何度も就活に失敗すると、自信を失っていくのも無理はない

この春から企業の新卒採用試験にチャレンジしてきた学生は、夏休みを過ぎても就職先が決まらないと、たまらなく不安や劣等感を感じてしまうものです。

かくいう私も、今をさかのぼること20年ほど前、春からチャレンジした新卒試験にことごとく失敗し、やっと内定をもらえたのは9月のことでした。半年もの間、一社からも採用通知をもらえない状態では、さすがに自尊心もへし折られ、「どこでもいいから入れて!」と卑屈な気持ちになってきます。20年ほどたった今でも、このとき感じた挫折感をありありと覚えています。

私の新卒当時も、バブル崩壊後の不況で就職が困難な時期でしたが、今はリーマンショック後の世界的不況やユーロの信用不安による歴史的な円高による影響などから、より困難になっていると思います。そんな厳しい状況のなか、就活を機にうつ病を発症する若者たちが続出しているようです。

警視庁の調査によると、2011年には20代まで150人もの若者が就職の失敗を理由に、自ら命を絶っていることが分かりました。2007年には60人でしたから、この年の2.5倍ほど増加している結果になります。また、労働問題に詳しいNPO法人 POSSEが2010年度に学生約600人へのアンケートにより集計した「就活調査」によると、就活経験者の7人に1人が「就活うつ」の状態になっているという結果です。

就活の失敗から生きる気力を失っていく若者が、後を絶たない現代。次世代を担う「社会の宝」である若者が、社会に出る前に自己効力感を失い、将来に希望を持てなくなるような状況では、日本の未来も心配です。

「就活うつ」を防ぐ3つのヒントとは?

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就活中の独特の発想が自分を追い詰めていないか?

企業の採用人数が激減するなか、そもそも希望の会社にストレートで就職できる人は少ないもの。そんななか、たくさんの若者が就活を機に自己否定感や挫折感を経験します。さらに、何度挑んでも失敗する状況では、抑うつ的になってしまうのも無理はありません。

しかし、本格的なうつ病に進行する前に、ぜひ次の3つのポイントを参考にしてみてください。

1. 「今の気持ち」をカウンセラーにまるごと話す

「どうして自分だけ落ち続けるんだろう」「もうどこにも雇ってもらえないのだろうか」・・・・・・就活に失敗し続けると、こんな思いが頭の中をぐるぐると駆け巡ります。そうした気持ちは、溜めたり押し殺したりせず、ぜひ吐き出してしまいましょう。

両親やきょうだいなど、身近な人が受容的に聞いてくれれば何よりです。しかし、残念なことに、家族に弱音を吐くことで逆に責められ、精神的にますます追い込まれてしまうケースも少なくありません。そもそも叱責を受けても、就活がうまくいくはずがないのです。

たとえば大学生なら、学内のキャリアセンターや就職支援センターなどの就職相談窓口、学生の心理相談を行っている学生相談室を訪れて、まずはまるごと「今の気持ち」を聞いてもらいましょう。カウンセラーは、相手の立場に立って話を聞き、長所やストレングス(強み)を引きだす技術を持っています。また、一人ひとりの学生にあった就職先や働き方を一緒に、真剣に考えてくれるでしょう。

また、全国のハローワークには若者の就職活動を応援する「ジョブカフェ」があります。キャリアカウンセリングの他、セミナーやイベントなども充実しています。共感的に話を聞き、一緒に就活の課題を考えるキャリアカウンセラーが常駐していますので、ぜひ利用してカウンセラーと一緒に自分自身の就活の課題を考えてみるといいでしょう(各地のジョブカフェについては、最寄りのハローワークにお尋ねください)。

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