金環日食を見ていた子どもがマンションから転落する事故が発生
ただ、こうした華やかな一大イベントとは裏腹に、東京都大田区では痛ましい事故が発生していました。当日の5月21日午前7時半ごろ、区内にあるマンションの3階の窓から2歳の男の子が転落する事故が発生しました。各種報道によると、両親と金環日食を見ていた際に誤って転落した可能性があるそうで、病院に搬送されましたが意識不明の重体だといいます。
その6日前の5月15日には、足立区のマンションで3歳の男の子が11階の自宅バルコニーから転落死する事故がありました。母親は買い物で外出しており、ひとりで留守番をしていたときの出来事です。3歳といえば好奇心旺盛な年頃です。何かに興味を示し、ついバルコニーに出てしまったのでしょう。
過去5年間で立体駐車場での事故は26件 うち2件は子どもの死亡事故
幼児の事故はマンションに限った事故というわけではありませんが、こうした転落事故と並び、昨今、マンションでは敷地内の機械式立体駐車場で子どもがトラブルに巻き込まれるケースが目立っています。大阪府茨木市では今年4月2日、3段式の立体駐車場のパレットを地下から上昇させていたところ、このパレットに乗り移ろうとした運転者(母親)の3歳の男の子がパレットと梁の間に身体をはさまれて死亡する事故が発生しました。また、岩手県花巻市では7月23日、4歳の男の子が車を載せる回転式台座と壁面に挟まれて死亡する事故が発生しています。この立体駐車場は入庫後に台座が180度回転し、垂直に車を持ち上げるタワー型の構造になっていました。男の子が駐車場内に残っているのに家族が気づかないまま機械を操作したことが原因と考えられています。目の前でわが子を失ったご両親の心情は察するに余りあります。
消費者庁などの調査によると、2007年から今年(2012年)4月末までの間に機械式駐車場で26件の事故が発生しており、このうち4件は死亡事故でした。そして、4件中2件で子どもが巻き添えになっています。
これまで都心部では狭小敷地に容積率いっぱいでマンションを建設することが常態化しており、全世帯分の駐車場を敷地内に確保するのは困難でした。そこで、その不足を少しでも解消すべく、駐車場を立体化することで駐車台数を増やしてきました。
その結果、機械式立体駐車場の導入で台数の確保にはつながりましたが、半面、幼児を初めとした事故の“震源地”として、今般、予期せぬ弊害が目に付くようになりました。こうした問題、特に小さなお子さんのいるご家庭にとっては見過ごすわけにはいきません。マンションの管理組合が音頭を取り、予防策の策定に取り組む必要があります。
では、どうすれば事故を未然に防げるのか、次ページで対応策を見ていくことにしましょう。