是正指導率は増加傾向 最近では「2社に1社」が違反の指摘を受けている
是正指導を受ける管理業者は総じて増加傾向を示している。
下表に是正指導の内訳として挙げた5つの項目は、マンション管理業者が適正な管理業務を行う上で絶対に順守しなければならない項目です。にもかかわらず、違反はなくなる気配がありません。由々しき事態といえます。
また、「契約成立時の書面交付」も違反が目立っています。契約成立時の書面とは、業務委託契約書のことです。管理組合と管理業者の間で締結する管理サービスについての契約書です。この契約書が作成されない(取り交わされない)まま管理業務が実施されると、後々、「言った」「言わない」といったトラブルの原因になることが考えられます。それだけに、要請しても契約書を作成・交付しない管理業者とは契約を結ばない(更新しない)ほうがいいでしょう。信用できるはずがありません。
さらに、「財産の分別管理」も急に増えているのが気がかりです。ここで言う財産とは、「管理業者が自社で有する固有財産」と「管理組合から委託を受けて管理する財産(修繕積立金など)」の両方を指します。管理業者は法律で、この両者を分別して管理するよう義務付けられています。一時的にしろ、修繕積立金を自社(管理業者)の運転資金などに流用する行為を防止するためです。管理組合の大切な資金を横領・着服されないためにも、管理組合が自ら目を光らせる必要があります。
マンション管理業者が生き残るために残された道は「自己改革」のみ
こうした結果を受け、調査元の国交省は「引き続き立入検査による法令順守の指導を行なうとともに、悪質な適正化法違反に対しては、適正化法に基づき厳正かつ適正に対処して参ります」とコメントしています。また、関係団体にも指導要請を繰り返し行なっています。これにより、悪徳管理業者を排除することはできるのでしょうか?――
私ガイドは、その点、マンション管理業者自身が「自覚」と「意識」を持ち合わせているかどうかがポイントと考えています。いくら回りが圧力を掛けたところで、当の本人(管理業者)にその気がなければ善処は期待できません。「自己改革欲」が企業風土に備わっていなければ実現は不可能です。
分譲マンション市場は飽和時代を迎え、かつてのような新規販売が見込みにくくなっています。そして、そのしわ寄せはマンション管理業界にも広がっています。2006年2月に三菱地所コミュニティーサービスと藤和コミュニティが合併し、三菱地所藤和コミュニティが誕生しました。また、2009年1月には野村リビングサポートがゼファーからゼファーの子会社であるゼファーコミュニティーの全株式を取得しています。業界再編は加速の一途をたどっているのです。
そうした中を生き抜くには、「自己改革」しか残された道はありません。悪徳業者のレッテルを貼られたら再起不能なのです。管理組合の立場に立った業務サポートができるかが勝敗を分けることになるでしょう。業界の「規範」となれるようなマンション管理業者が何社、出現してくるか?―― 好結果を、ただただ願うばかりです。