東京スカイツリー下の「みりん堂」
東京スカイツリーの目の前に店を構える煎餅店「みりん堂」。こだわりの醤油ダレで焼く手焼きの煎餅は、お土産にはもちろん周辺散策のお供にもおすすめ。新作の「ぬれそふと」も人気です。継ぎ足して約90年。秘伝の醤油ダレ
煎餅店「みりん堂」の創業は大正12年。現在店を守るのは3代目。店頭に並ぶほぼすべての煎餅を1人で手焼きしています。創業以来大切にしているのは煎餅のタレ。絶やすことなく継ぎ足してきた醤油ダレが「みりん堂」の味の決め手です。 みりん堂といえば「がちんこ焼」。両国の江戸東京博物館がオープンした平成5年にご主人が考案したもので、以来現在に至るまで、同館のお土産売り場で販売されています。力士の顔と軍配、手形と相撲にちなむ3種類の形があり、味は醤油とゴマの2種類。味もさることながら、形やネーミング、気の利いたパッケージも人気の所以です。
「おしなり焼」押して美味しくなり
ざっと数えただけでも店内に並ぶ米菓は数10種類。この中で、特に煎餅好きに一度は味わってほしいのが、「手焼き大丸」と「おしなり焼」。「手焼き大丸」は、みりん堂の煎餅の中で一番歯応えのある厚焼きの煎餅。さっぱりとした後味で、醤油の香りが軽やかです。 同店では焼くときに反り返ってくる煎餅を鏝(こて)で押す、昔ながらのお煎餅の製法を「百遍返しおしなり焼き」と呼ぶそうで、「おしなり焼」は、そこから名付けられたもの。3代目の奥さまによると「押して美味しくなり」という意味なのだとか。手焼き大丸よりも焼き目が濃い分、醤油と生地の香ばしさが際立ちます。週末には実演販売があり、焼き立てを味わうことができます。お土産にはこれ
せっかく東京スカイツリーのおひざ元にあるのだから、と考案したのが、「東京スカイツリー(R)せんべい」と「東京そらの木煎餅(R)」。「東京スカイツリー(R)せんべい」には完成時の東京スカイツリーの姿が、「東京そらの木煎餅(R)」にはデフォルメし、巨大な木に見立てた東京スカイツリーの姿がそれぞれ無糖のココアで描かれています。
どちらも大きさは通常の煎餅の約3枚分。この大きさの煎餅を手焼きで見事に焼き上げるのは、40年の職人歴を持つご主人ならではです。
「ぬれせん」と新名物「ぬれそふと」
みりん堂の隠れた人気の「ぬれせん」。常連客のリクエストで約30年前に始めたもの。焼き上がった煎餅を醤油に付けた後すぐに袋に入れるため、秘伝の醤油ダレの香りがしっかり閉じ込められています。しっとり、もっちりとした食感と醤油のコクが絶妙です。私のおすすめは、これにザラメを付けた「ぬれせんザラメ掛け」。ザラメのカリカリとした食感が心地よく、甘さが醤油にさらなる深みを添えているよう。ぬれせん独特の塩気も和らぎます。 新作の「ぬれそふと」は、専用のぬれせんでソフトクリームを挟んだもの。東京スカイツリーを訪れる人に楽しんでもらえるよう考えられたもので、ソフトクリームの懐かしさ漂う甘さに旨味と塩味、香ばしさが重なるユニークな味。食べ歩き用におすすめです。
4代目に繋ぐ伝統
下町で約90年愛されてきた「みりん堂」の煎餅。ご主人が良い素材を用いて1枚1枚手焼きするため、どうしても数は限られます。多くの人が界隈を訪れると思われる東京スカイツリーの開業後は、品切れのものが増えるのではと尋ねてみると、この4月から、次期4代目の息子さんが3代目と共に煎餅を焼き始めたのだそう。東京スカイツリーの開業が近づくにつれ、活気を増していく界隈。これに伴い、老舗が新作を作ったり新店がオープンしたりと食べ歩きの楽しみも増しています。
<店舗情報>
■「みりん堂」
東京都墨田区業平1-13-7
TEL:03-3621-2151
営業時間:9:30~18:00
定休日:水曜日
地図:みりん堂
東武線「業平橋」(東京スカイツリー)駅より徒歩約3分
東京メトロ半蔵門線「押上」駅より徒歩約5分
都営地下鉄浅草線「本所吾妻橋」駅より徒歩約5分