「旭化成不動産レジデンス」の対応
社内組織として「マンション建替え研究所」を設立し、これまでの実績から得たノウハウを広く提供している旭化成不動産レジデンスでは、前ページに挙げた課題に対し、建て替え事業をソリューションのひとつとして提案している。同社では、実際に建て替えに携わった経験のある人材が10数名在籍。外注ではなく、自ら合意形成や各種手続きを執り行ってきたため、状況の異なる現場に対して個別事情に応じた細かな対応が強みである。
今年着工した「宇田川町住宅建て替え事業」(右上の表を参照)は、渋谷の公園通りに面した立地。ここではマンション建替え円滑化法を活用し、17戸だったマンションを50戸の新たなマンションに建て替える工事が現在進行中だ。
注文住宅「ヘーベルハウス」で培ったノウハウ
前ページで小規模マンションの抱える課題について触れたが、旭化成不動産レジデンスがいかにノウハウを駆使して、個別のニーズに応えているか。その具体例を宇田川町住宅建て替え事業の平面図を使ってご紹介しよう。建て替えは、現所有者のそれぞれの要望を把握するところからはじまる。四半世紀以上も経つと家族構成やライフスタイルは変化して当然。よって、新居に求める広さも世帯によってまちまちだ。もちろん経済事情も異なるため、単価の高い都心の専有部の大きさは微妙な調整が求められる。上の「A(平面図)」をご覧いただこう。これは前述した「宇田川町住宅」の平面図。吹き出しのある廊下や吹き抜け部分が、違うフロアでは下の「B」や「C」のように専有部として使われている。
このわずか数平米の工夫は、注文住宅「ヘーベルハウス」を手がけてきた同社グループならではのノウハウのひとつ。設計会社やデベロッパーにとっては全体のうちのわずか一戸でも、所有者からすればそれがかけがえのないマイホームであり、財産である。「微に入り細を穿つ」がパートナー選びの大きな条件になる。
「マンション建替え研究所」では、ホームページに窓口を設け、個人単位での相談から応じられる体制をとっている。勉強会なども必要に応じて開催している模様。
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