土地購入/より良い土地購入の方法・選び方

売地の物件情報収集、不動産広告の見方(2ページ目)

家を建てるための土地を購入するときには、「希望する家が建てられる土地」を選ぶことが何より大切ですが、そのためには物件情報収集の段階から気をつけておきたいことなどもあります。土地購入で思わぬ失敗をしないために、物件広告などをしっかりとチェックすることも欠かせません。

執筆者:平野 雅之


売地広告を見るときには

新築分譲マンションの場合には分厚いパンフレットが用意されたうえ、モデルルームなどもあって、購入希望者が知りたい内容のほとんどが分かる仕組みになっていることも多いでしょうが、売地の場合はそうではありません。区画数の多い開発分譲地ではそれなりの資料が揃っているとしても、ほとんどの売地は限られた情報をもとに判断を求められることになります。

不動産広告における表示内容やその方法については、宅地建物取引業法による定め(誇大広告の禁止、広告の開始時期の制限、取引態様の明示義務)のほか、不動産公正取引協議会による「不動産の表示に関する公正競争規約」で一つひとつの細かな広告表示ルールが定められています。また、不動産業界団体による自主規制の取り組みもされているところです。

ほとんどの広告でルールが守られているとはいえ、不動産業者の社内で印刷されたようなチラシはチェックが行き届かず、必要な事項が抜け落ちていることもあるので注意が必要です。また、街の電柱などに付けられた貼り紙(電ビラ)や看板(捨て看)による物件広告は、広告として必要な項目がほとんど満たされていないだけでなく、貼り紙や看板の掲出自体が違反行為です。広告のルールを守れない不動産業者が、その後の売買取引ではしっかりとルールを守るのかどうか疑問でしょう。

また、購入動機に影響を及ぼすようなマイナス要因については表示しなければならないものの、その基準は明確ではなく、どうしても個人の主観によらざるを得ない部分や曖昧な部分が残ってしまいます。土地のマイナス要因を不動産広告で判断することはなかなかできないうえ、近隣の住人との関係など、広告には書けないものがあることも事実です。

不動産広告をみて物件のイメージを思い描くことは大切ですが、限られた情報をもとに過度の期待をもって妄想をすることは禁物です。土地を探すときには現地をみて確認しなければ分からないことも多いため、逆に広告だけであまり厳しく取捨選択する必要もありません。


売地広告のチェックポイント

売地の広告には、所在、土地面積、権利の種類、各種の都市計画制限、接道状況などが記載されていますが、これらを読み解くには若干の予備知識も求められます。また、敷地形状などについては文字情報だけの広告では分からず、販売図面や現地を見なければはっきりしないこともあるでしょう。

都市計画で指定された容積率(敷地面積に対する建物延床面積の割合)が300%でも、敷地前面の道路幅が4.0mであれば、実際に使える容積率は160%までに制限されます(住居系用途地域の場合)。さらに、斜線制限などによって指定容積率を下回る建物しか建てられない場合もあります。ところが、不動産広告では指定容積率(この場合は300%)しか記載されていないことが少なくありません。

また、前面道路の幅員が4.0m未満の場合、原則として既存道路の中心線から2.0mのラインまで敷地を下げなくてはなりません。この敷地後退のことを「セットバック」といい、不動産広告では「セットバック有」「SB有」などと表示されています。セットバック面積が敷地面積のおおむね10%以上のときには、その面積も広告に記載されることになっていますが、それ以下の場合、あるいは測量しないと分からない場合などでは、これが省略されていることもあります。建ぺい率容積率を計算するときには、セットバック面積を除いた正味面積が対象となりますから、広告に表示された土地面積にそれが含まれるのかどうか注意が必要です。

私道の負担面積がある場合にはその面積が記載されることになっていますが、たとえば「123平方メートル(別途、私道12平方メートル)」のように表示される場合と、「123平方メートル(私道12平方メートルを含む)」のように表示される場合とがあるので注意しなければなりません。この私道負担面積についても、測量しないと分からないなどの理由で「私道負担あり」としか表示されていない場合があります。

さらに、セットバック面積や私道負担面積の問題以前に、敷地面積そのものがはっきりしない場合すらあります。少なくとも登記簿に記載された面積の数値は存在するわけですが、これと実測面積とが一致しない、あるいは実測をしていない土地も数多く存在します。過去に開発分譲された土地や区画整理された土地などでは、登記簿面積と実測面積とがおおむね一致していますが、とくに昔の区画そのままの土地や、かつて山林や畑だった土地などでは、登記簿面積と実際の面積とが大きく異なる場合も少なくありません。1区画だけの土地の広告表示では、その敷地面積が登記簿面積なのか実測面積なのかがはっきりしないケースも多いので注意が必要です。

そのままでは宅地として利用できないような傾斜部分を「法地」(のりち)または「法面」(のりめん)といいますが、これが土地面積に含まれていることもあります。法地や擁壁を含む傾斜地の面積がおおむね30%以上の場合などには、「傾斜地を含む旨とその面積」を広告に記載しなければならないことになっていますが、どの程度の傾斜角度なら「傾斜地」として区分するのかは明確にされていません。

いずれにしても、広告だけで土地の良し悪しがすべて分かるわけではありません。気になる土地の情報があったときには、実際に現地をみて判断をすることが必要です。


関連記事

不動産売買お役立ち記事 INDEX

売地の現地を見るときと土地選びのポイント
建築条件付き土地を購入するときの注意点
自然災害に強い土地を選ぼう
土地の売買契約から引き渡しまでのポイント


  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます