地震保険は、家財の「ちょっとした損害を穴埋めするものではない」
食器棚が倒れて食器が壊れたケースは?
Q.8 食器棚が倒れ、食器が少し割れた
A.生活用家財には、もちろん食器も含まれます。ただ、家財の認定方法についても、一般の保険のように、壊れたものの損害についてその金額を補てんするという仕組みではありません。地震保険の場合は、受けた損害の全体を踏まえたうえで、ざっくりとした認定をします。
ですから、他には全く損害はないけれど、唯一所持していた高価な皿だけが割れ、それが家財時価全体の10%以上を占めていたから保険金が支払われる、といったしくみではないということです。
また、家族4人の標準世帯の家財額(簡易評価による再調達価額)は、世帯主35歳の場合すべて含めて1200万円程度とされます。地震による損害額が、上記の算出方法で10%以上(つまり一部損の認定)と 評価されれば、地震保険金の支払い対象になるということです。
仮に、1,200万円を火災保険の保険金額とする場合、地震保険にはその50%の600万円まで加入できますから、一部損の認定であれば、600万円の5%に相当する額が保険金となります。そもそも、地震でモノがちょっと壊れた、買い直しもできなくはないといったレベルで保険金を期待する保険ではないというのが、地震保険の基本的な捉え方です。
まとめ
上記で種々の事例を見てきました。そこから地震保険とはそもそも、「貯蓄では到底賄えない大きな被害」をカバーする目的で作られている保険であることが見えてきたのではないでしょうか。
建物の揺れによる被害については、建物の骨組みである主要構造部の損害の程度に着目して保険金が決まります。ですから、そもそも主要構造部で発生した3%以上の損害からが保険金の支払い対象であり、主要構造部にそれ以上の損害がなければ、建物の主要構造部以外の部分に損害があったとしても、保険金は支払われないということです。家財についても、家財時価全体について、10%以上の損害が発生していなければ保険金の支払い対象にはなりません。
つまり、一般の保険のように、どのような規模であれ、生じた損害に応じた保険金が支払われるといった性格の保険ではなく、また、ただ入ってさえいれば何かしらの保険金を受け取れるというものでもありません。
ですから、貯蓄等で対応が可能な程度の損害についてまでカバーを求めないのが、地震保険の利用における基本スタンスといえるでしょう。一方で、貯蓄では到底対応不能な住宅ローン残債や、生活再建のための一時金への対応が必要な世帯が被る家計への深刻なダメージに対し、まとまった一時金が支払われる点において、地震保険は有効な手段といえます。
わが家が最悪の事態に陥った場合、地震保険による助けを必要とするのか、つまり、地震保険による助けがない場合、自己破産が視野に入ってしまうのかどうか―。こうした視点から地震保険を検討することがポイントです。
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