食品ロスの発生は、毎年500万~900万トン!
日本では、国内及び海外から年間約9,000万トンの食用農林水産物が調達されていますが、食品品関連事業者(食品製造業者、食品流通業者、食品小売業者)から約800万トン、一般家庭から約1,100万トン、あわせて年間約1,900万トンの食品廃棄物が排出されています。このような食品廃棄物には、製造過程で発生する製造副産物や調理くずなど食用には適さないものだけでなく、本来食べられるにもかかわらず廃棄されているもの(以下「食品ロス」という)があります。
この食品ロスは、事業系では企画が遺品・返品・売れ残り、食べ残しなどで約300万~500万トン、家庭系では食べ残し、過剰除去、直接廃棄などで約200万~400万トン、合計で年間約500万~900万トンと推計され、食用向け農林水産物の約5~10%、食品由来の廃棄物の約30~50%を占めると見られています。
食料自給率40%は、先進国の中でも最低水準の日本でありながら、食べられる食品が大量に廃棄されているという現状は、なんとも矛盾しています。
再生利用は進むが、食品ロスの発生は横ばい状態
食品リサイクル法が施行された平成13年度から19年度までの推移をみると、再生利用等実施率は着実に上昇しています。しかし、食品製造業の再生利用等の実施率は高いのですが、食品卸売業や食品小売業、外食産業など、食卓に近くなるほど再生利用等実施率は低く、まだ十分とはいえません。また発生量自体は、ほぼ横ばいという状況です。世界的な人口増加やアジア諸国の経済発展により食料需要は増大しており、地球温暖化などによる世界の食料需給の不安定化が進む中で、食料の安定供給を確保する必要があります。また発展途上国を中心に約10億人もの人々が栄養不足の状態にあることを配慮し、さらに廃棄物の最終処分の残余年数は厳しい状況にあり循環型社会を構築するためにも、日本の大量の食品ロスの発生を抑えることは、国としても最優先的に見直すべき課題として、取り組みが進められています。
そこで2012年3月には業種や業態の特性を踏まえた上で、業種ごとの発生抑制の目標が設定されることとし、2012年2月にとりまとめ、3月に公表されることとなりました。
ガイドは、以前食品製造・流通事業者などから、品質に問題がないのにもかかわらず廃棄せざるをえない食品を寄付してもらい、必要としている人に無償で届けるボランティア活動「フードバンク」について、また食品工場の残さやお店の売れ残りを飼料として活用する「エコフィード」についてもご紹介しました。今回は、事業者がどのように食品ロス削減に取り組んでいるのか、また私たち消費者は何ができるのかについて考えたいと思います。
今回は、2012年2月23日に行われた社団法人 日本有機資源協会主催「これからの環境対策を考えるシンポジウム~食品事業による「出来ることから!」環境にやさしい行動~」から得たデータや情報、その他を参考にまとめています。