不動産売買の法律・制度/不動産登記の基礎知識

自分でもできる登記の調査とその手順

法務局(登記所)へ行って登記事項証明書などを取得することは、経験がなければ難しそうに感じるだろうと思いますが、地番の調べ方さえ分かればあとは意外と簡単です。購入を検討する不動産の権利関係を知りたいときなど、自分で調べてみる場合の手順を知っておきましょう。

執筆者:平野 雅之


登記事項証明書や地図(公図)、地積測量図、建物図面(各階平面図)など法務局で取得する書類は、売買契約前の重要事項説明のときに渡されるはずです。しかし、土地や建物の購入を検討している段階では登記されている内容が分からず、あらかじめ自分で調べてみたいという場合もあるだろうと思います。

今回は、登記内容を自分で調べるときの、基本的な手順やその費用についてみていくことにしましょう。住宅を購入した後に、住宅ローン控除の手続きなどで登記事項証明書が必要になったときも、これをみれば分かります。


登記された内容を確認するいくつかの方法

登記事項証明書

登記事項証明書などを入手するためには、いくつかの方法がある

以前は調べたい土地や建物の所在地を管轄する法務局(登記所)へ行くか、もしくは郵送で申請書を送らなければ何もできませんでしたが、全国の法務局でコンピュータ化が完了(一部の図面などを除く)したことにより、現在は大きく変わっています。登記された内容を確認するためには、次のような方法があります。

管轄の法務局(本局、支局、出張所)へ行く
管轄ではない最寄りの法務局へ行く
郵送で申請して送ってもらう
オンラインで申請して窓口で受け取る
オンラインで申請して送ってもらう
インターネットで登記情報を取得する

管轄の法務局へ行けば、登記事項証明書や図面などの書類をすべて入手することができます。ただし、物件によっては地積測量図や建物図面などがもともと備えられていない場合もあります。管轄ではない法務局でも登記情報交換システムにより、たとえば東京の物件の登記事項証明書を大阪の法務局で取得するようなことも可能です。しかし、登記事項証明書と地図(公図)はどこでも取得できるものの、地積測量図や建物図面などについてはまだコンピュータ化の途中であり(平成24年3月現在)、管轄の法務局へ行かなければならない場合も少なくありません。

郵送による申請は、あらかじめ地番などが分かっている必要があるほか、入手までにそれなりの日数がかかるため、最寄りの法務局へ行ったほうが早いでしょう。オンラインで請求するためには、電子証明書や公的な個人認証を取得するなど事前の手続きも必要です。オンライン申請の手数料額は通常よりも安く設定されていますから、繰り返し何度も申請をする予定があれば、この方法を検討してみるのも一案です。手続きの方法などは法務省のページに案内があります。

インターネットで登記情報を取得するには、財団法人民事法務協会による「登記情報提供サービス」にアクセスします。原則として個人利用、法人利用ともに事前の登録が必要ですが、クレジットカードがあれば「一時利用」としてすぐに使うこともできます。登記内容の「全部事項」が1件につき397円、「所有者事項」(登記名義人のみの情報)が1件につき147円、地図の情報が1件につき427円と、他の方法に比べて安くなっています(金額は平成24年3月現在)。「登記事項証明書」のような証明書としての効力はありませんが、登記内容をすぐに知りたいときには便利でしょう。

なお、コンピュータ化される前の閉鎖登記簿などを閲覧して、過去の状況や古い地名表示などを調べたいというような場合には、従前のとおり管轄の法務局へ行くことが原則となります。


次のページでは、購入を検討する不動産の管轄法務局へ行って登記内容を調べる場合を例に、その基本的な手順をみていくことにしましょう。


登記内容を調べるときはまず地番の特定から…次ページへ


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