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ゲーム業界はソーシャルと本気でお付き合いするのか(3ページ目)

2011年、大変に話題になったソーシャルゲームの隆盛。2012年はゲーム業界の大手メーカーも続々とソーシャルゲームに力を入れていく年となるでしょう。さて、ここで大切なのは、一概に力を入れると言っても、ソーシャルゲームに対してどういう姿勢で力を入れていくのか、という部分です。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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ガワを変えるのか、中身を作るのか

ドリランドの図

GREEの看板とも言えるドリランド。しかし実は、プレイしてみると、あっちもこっちも、すごく似たゲームで溢れています。(イラスト 橋本モチチ)

現状を言えば、コンシューマーゲーム業界はソーシャルゲームにくっついてビジネスをしています。ソーシャルゲームという非常に優れた課金の構造を持つビジネスがあり、そこにコンシューマーゲームで培ってきたブランドを投下することによって差別化して会員を増やしていくという状況です。

コンシューマーゲームのタイトルを使わずに、コンシューマーゲームメーカーが成功を収めた例ももちろんあります。1番有名なのはコナミのドラゴンコレクションでしょう。もっとも、ドラゴンコレクションもソーシャルゲームにおいて新しいゲームを提案したというわけではありません。Mob Warsという海外のゲームが源流と思われる、もはや定番とも呼べるフォーマットのアレンジという色が濃いタイトルの1つです。

ソーシャルゲームの看板として人気のある怪盗ロワイヤルや探検ドリランド、先ほどご紹介したファイナルファンタジー ブリゲイドやアイドルマスター シンデレラガールズなども含め、非常に多くのゲームがこのフォーマットのアレンジに終始していて、実は外側は違えど中身は多数がおんなじゲームを遊んでいるような状況があります。実際いくつかのゲームを選んで遊んでみると、あまりの違いの少なさに驚かされるぐらいです。

これはつまり、このソーシャルゲームとして優秀なフォーマットをよってたかって擦り切れるまで消費しつくしているような現状で、それが各人気タイトルごとに100万人とか、それこそドラゴンコレクション程のヒットとなると550万人以上なんていうレベルで会員を集めています。

優秀なフォーマットに多くのゲームが集まる現象は、ここまで極端ではないにせよコンシューマーゲームでもままある状況で、じゃあその後どうなるかと言われれば、普通に考えてどこまでも制限なく同じフォーマットでユーザーが遊び続けてくれるはずもなく、飽和状態を迎えた後はゆっくり縮小していくことが考えられます。そうしてまた、エポックメイキングなゲームの登場が必要になるんですね。

2012年は、ますますゲームメーカーがソーシャルゲームに力を入れる年になると思われます。冒頭ご紹介したように、すでに大きな成果を発表するメーカーがいくつもあるわけで、この流れに乗り遅れてはいけないと、次々に新しいゲームが登場していくことは想像に難くありません。その時、外側ではなく、中身がどうであるかでコンシューマーゲーム業界のソーシャルゲームに対する姿勢が見えてくるように思います。

コンシューマーゲームビジネスの出口の1つとして、ヒットしたフォーマットに認知の高いゲームの名前を乗っけてビジネスをしていくのか、ゲームメーカーが持つクリエイティビティを生かしてソーシャルゲームならではの新しい遊びを提案し、自らが開拓する市場として力を注いでいくのか。ゲーム業界がソーシャルゲームとどういうつもりでお付き合いをするのか、はっきりする年となるかもしれません。

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