等級制度をとる以上、昇格だけでなく降格の可能性もある
一度格付けすると降格は困難になります。厳格に実施しましょう
企業の実情から、責任が重い等級に格付けしてしまうケースもあるようですが、いったん格付けをしてしまうと降格は困難になります。そういう場合は、無理に昇格させず、むしろ現等級での役割による人事考課制度(短期的評価)による昇給・賞与で評価していくのです。
今の激動の経済下で責任を担い続けるということは、大変なことです。職務遂行していく過程で降格をせざるをえないケースも起こり得ることを想定しておきましょう。降格させる場合は、昇格と同じように今後継続して役割を負えない場合はやむなしです。従業員にとっては、給与などの処遇が低下することに繋がりますから、トラブルを避ける意味で、激変緩和措置をとることをお勧めします。具体的には、給与額を数年かけて降格後の水準にするのです。その措置をとることは、敗者復活戦があるよ、というメッセージにもなるのです。
役職制度との併用をすることが現実的です
■等級制度と役職制度は分離して運用しましょう前述の6等級に区分した等級制度の右に、代表的な役職がありますね。これが役職制度です。役職とは、企業の組織として部や課を作った際に任用されるポストです。これは必ずしも等級制度とリンクさせる必要はありません。運用は分離すべきです。役職は組織体の要請で、設定されるので部や課は廃止されればポストもなくなるわけです。役職を解かれても、また次の役職に任用されることがある柔軟な制度です。この点を社内周知しておくことです。
組織戦略上の必要性からくるもので、等級制度とは別物という認識が徹底していれば、等級制度を補完するものとしてうまく併用できます。ここが非常に重要です。等級制度と役職制度は硬直的にリンクするものとして運用している企業が多くみられますが、これでは成果主義制度の実が上がりません。組織として部や課を廃止しなければならないのに役職者を残すために組織を残したりするなどの運用は避けましょう。
等級制度と役職制度を基にした賃金制度のコツはまた別記事で解説します。成果主義制度を身のある制度とするために、今回の記事をヒントに自社版を策定しましょう。
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