企業の経営理念(方針)が従業員個人に伝わっていますか?

事業理念と人事制度がしっかりリンクしていることが運用のカギです

事業理念と人事制度がしっかりリンクしていることが運用のカギです

前回、成果主義人事制度の概要について解説いたしました。今回は、この成果主義制度を運用していくために欠かせない等級制度について考えてみたいと思います。

なぜ成果主義制度を企業が採用するのでしょうか。企業は営利団体ですから、利益が上がらなければ従業員への給与の原資が確保できません。成果主義をとることで、企業業績がUPしてこそ正解だと言えるのでしょう。そのためには、企業の経営理念(方針)が、従業員個人に至るまでしっかり伝わっていなければなりません。事業理念と人事制度がしっかりリンクされていることです。次のフローでイメージしてみましょう。1から6への流れです。

  1. 経営ビジョン・・・中長期経営計画
  2. 企業の経営計画・・・年度ごとの経営計画
  3. 企業の組織目標
  4. 従業員の個人目標
  5. 成果主義による人事評価(成績評価)
  6. 給与などの処遇へ反映

企業規模の大小はありますが、おおよそこの流れは変わりません。上記の流れに一貫性をいかにもたせるかが、成果主義を機能させるためのポイントです。この中では3と4の間の合意形成(納得性)がカギとなります。企業の目標を個人目標にリンクするには、従業員への期待度(なにを期待するのか)が明確になっていないとうまく機能しません。この期待度を明確にするのが、今回のテーマ、「役職・等級制度」なのです。

成果主義による人事評価は、人事考課制度と等級・役職制度の両輪で

上記4.の個人目標の具体的顕在結果で5.の人事評価をします。この人事評価は、大きく次の2つに分かれます。
  • 人事考課制度(短期的な評価)
  • 役職・等級制度(中長期的評価)

中長期的制度として、役職・等級制度をつくろう

従業員に期待する役割をより具体的なメッセージとして明示することがポイント

従業員に期待する役割をより具体的なメッセージとして明示することがポイント

上記の人事考課制度(短期的な評価)については、主に昇給や賞与などの処遇を決めるために使います。大きなテーマなので、また別の機会で解説をさせていただく予定です。今回は、企業業績のエンジンをかけるための核心部分である、中長期的視点での役職・等級制度のポイントを解説します。この制度を構築して従業員に提示することで納得性のある制度とするのです。つぎの2つがポイントです。

  1. 従業員に期待する役割のレベルを明示
  2. それに見合う給与待遇などの基準を明示

1.の役割レベルの基準が明示され、その基準ごとに給与処遇の体系を明示することです。等級制度があってもうまく機能していない場合は、抽象的な表現になっていることが主な原因です。自社にとっての具体的役割の内容が書かれているかどうか検証してみてください。

■役職・等級制度で、従業員ごとの役割を明確にしよう
短期的な評価の積み重ねが中長期評価になります。経験や実績を積むことで、より高度の役割を負えるかどうかは自ずとわかりますね。前回の記事にも書きましたが、例えば管理職の役割は、部下をマネジメントしていくことです。部下の能力を発揮させていくこと=「成果」と考えると判りやすいですね。従って、従業員ごとの「成果」は、それぞれ異なるのです。

■具体的な成果主義に対応した資格制度の設計はこうする
能力区分、役割区分に応じた社内貢献度を基準に等級表を作成します。能力保有の段階から能力発揮段階まで詳細に定義づけをしていきます。ポイントは、つぎの2つです。
 
  1. 等級を細分化しないこと
  2. 等級定義を具体的にすること
(抽象的になりがちです。自社の職務内容を検証し具体化しましょう。)

新人から管理職クラスまでおおよそ5~6等級位に区分するとよいでしょう。これ以上に区分すると役割が不明確になる恐れがあります。イメージは、次のとおりです。

例)6等級制のケース
この等級ごとのキーワードを自社の職務に照らして具体的に明示することが勘所

この等級ごとのキーワードを自社の職務に照らして具体的に明示することが勘所


等級のイメージをキーワードで明記しました。等級の定義は、企業の業種や人員構成などによって異なりますから、このキーワードを文章化してください。一般的なひな形などで定義づけをしてしまうとうまく運用できません。等級定義は自社の職務内容を分析してどういう役割を担ってもらうか明示します。役割ということは、権限を与えると同時に、責任を負ってもらうことなのです。

次のページでは、等級制度上の降格の可能性について解説しています。