フレンチ/フレンチ関連情報

アラン・デュカスに単独インタビュー

『デュカスのナチュールレシピ』出版にあわせて来日したアラン・デュカス。フランス料理のこれからについてじっくりと聞いてみた。今は厨房で腕を振るうことはないがあくまで料理人として自然や素材と真摯に向き合い、フランス料理の発展に尽くす人材を育て上げる姿勢は一貫して変らない。デュカスの凄いところはぶれない哲学にある。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

ナチュールレシピ

アラン・デュカス氏が手掛けた著書『Nature Simple,sain et bon』 。シンプルで身体に優しく、そして美味しいがコンセプトのフランス自然派家庭料理190点のレシピ集、日本語翻訳版が発売された。デュカス氏が来日し、発売サイン会&講演が行われたが、この日は生憎の雨。しかし「大地に豊かな雨を降らせることが目的です」というデュカス氏の初めの言葉に憂鬱なはずの雨が心地良さに変わる。
アランデュカスのナチュールレシピ

アランデュカスのナチュールレシピ

彼の原点である自然と食材。フランス・ランド地方の農園に生まれ、豊かな自然の中で祖母の手料理とともに過ごした幼少期。12歳でシェフになると決めていたというのだが、祖母の味は彼の料理人としての人生に類い稀ない賜物を植え付けたことは言うまでもない。

そして、料理人となった彼の本質にあるものは地中海料理である。25年前に働いていたレストランで地中海の豊かな食材に興味を持ち、強い影響を受けたという。この料理書は「シンプル」「体に優しい」「おいしい」の3つのトライアングルが奏でる毎日食べ続けたいヘルシーなフレンチとして、デュカス氏の料理哲学が刻まれている。料理をする喜びを綴ったら自然に完成したというこのレシピ集は正真正銘の「ナチュールレシピ」だ。
モリーユ茸

季節の素材にあくまでこだわる

日本に滞在中は日本料理と酒のマリアージュを堪能しつつ、彼の脳裏には常に食材への関心が絶えない。死ぬ前に食べたいものは何かという問いに少し悩んだあと「80gのヒメジ」と答えが返ってきた。グラムまで指定!?と料理人としてのこだわりでもあるのだろうかと理由を聞いてみると、この80~100gのヒメジというのは地中海でもモナコから30kmのところの海辺にしか生息しない魚だそうだ。

日本ではあまりなじみのないヒメジだが、フランスでは一般的で魚料理の定番として名高い。それを内臓ごと丸のまま炭火焼きにして食べるという。魚の捕れた場所の赤っぽい岩でローストするそうだ。デュカス氏が最後に食べたいというヒメジの調理法は最も原始的でナチュラルな食べ方である。常に食材と真正面から向き合う姿勢、自然への敬意を心に留めている様子が彼の話し方、オーラから見事に感じ取ることができる。
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