大好物のクスクス
私にとってクスクスはフレンチのひとつ。それも大好きだ、ほんとうに。クスクスは長い歴史の中、モロッコとフランスとの関わりの中で海を渡り、様々な要素を取り入れ、フランス人社会の日常食へとなっていった。
大好きな野菜のクスクス
カウンターの中で調理中の店主。知識とこだわりと美しさを兼ね備えた料理人だ
時間がかかるため、他の鍋で食材を調理し、タジン鍋に移し替える店もある中、ロワゾーで食べるタジン鍋は正統な作り方でまさに本格的。そこにアクセントとしてアリサを。唐辛子ペーストを主としたモロッコ料理には欠かせない香辛調味料だ。市販品もあるが、ロワゾーのアリサは自家製で季節によって配合を変えている。ゆっくりと時間をかけて調理され、食材からのうま味と甘味たっぷりなモロッコ料理に刺激的な辛さが添えられると体内がぐぐっと温かくなる。どの料理にも欠かせない、日本でいう味噌や醤油のような存在。最後は鍋底のうま味たちを自家製のモロッコパンでふき取って食べる醍醐味も格別だ。
野菜の旨味が蒸すことによって増してくる
そしてもうひとつ、タンジーヤという料理を紹介したい。それは上等の壺蒸し料理である。現地では陶器製の壺に肉や野菜、香辛料を詰め、モスクの大浴場ハンマームに行くときに共に持っていく。炉の灰に埋め、大浴場でくつろいでいる間に蒸し煮をするというなんとも効率的で簡単な調理方法。低温で長い時間を有し、水分を使わないタンジーヤは水が貴重な土地柄で生まれた現地の知恵ある料理だ。ロワゾーでは火鉢でハンマームの炉を再現。壺を火鉢にかけてから9時間後に出来上がる。シンプルな料理なのだが時間がかかるため、2日前までの予約が必要だ。
カウンターとテーブル合わせて15席ほどの空間にブルーと白のタイルが鮮明で、天井から下がるランプがどことなく上品な趣。決して広くはない店内だが、調和した落ち着きがある。装飾も料理もきらりと美しい。
居酒屋が多い中、センスの良さが光る外観。
ダール・ロワゾー(三軒茶屋)
東京都世田谷区三軒茶屋2-13-17
東急田園都市線三軒茶屋駅 世田谷通り口よりすぐ。サーティーワンアイスクリームが目印。
電話番号 03-3418-8603
営業時間
月~土 12:00~15:00
月~土 18:00~翌0:00
日曜定休
予約が望ましい。
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