2012年は供給戸数も増加の見込み 防災スペック強化
新築・中古ともに買いやすい環境に
多くのマンションで、防災機能が強化された
例えば、三井不動産レジデンシャルが12月に発表した防災基準によれば、家具の設置が想定される全ての住戸内壁面に転倒防止金具の設置を可能とする家具転倒防止下地を設置。電気の確保として、非常用発電設備、または太陽光発電設備と蓄電池を設置します。水の確保として、全居住者の1日分の飲料水を共同防災備品で用意。雨水などを共用トイレの排水用に利用できるように、マンション内に非常用水貯留槽を設置します。
こうした防災面の配慮は、今後企画されるマンションへ導入されていくと思います。免震構造や制振構造のマンションなど耐震性に優れた構造も採用割合が高まるのではと思います。一方、供給戸数は震災直後の先送り分も含め2011年よりも増える見込みですので、価格動向は横ばい、供給過多のエリアではやや弱含むのではないかと思います。
中古市場は、在庫増加トレンドがいつ変るか?
築浅いマンションでもリーズナブルに
中古マンション市場は、11月の売行きを見ても新築マンション供給再開の動きで、在庫の増加が続くとともに価格も徐々に下がってきています。かつては、市場に出れば早期に売れた駅前の大規模マンションでも複数住戸が売りに出ているケースもあります。同様の事象は、リーマンショックの直後の状況に似ています。当時も恵比寿など人気エリアのブランドマンションが複数住戸売りに出ているケースがありました。当時の中古マンション在庫のピークは、2008年11月度の39,654戸。その後、徐々に在庫が減り始め2009年の9月には、30,000戸を割る水準まで減少します。価格は、2009年4月を底に緩やかに反転しています。在庫のピークから5ヵ月後が底でした。ただし、リーマンショック後と、異なる面は多々あります。住宅着工戸数が激減した当時と比べ、東京都だけ見ても着工戸数は大幅にアップしています。価格もまだ下落トレンドですし、中古マンションを価格面で買いやすい環境は、続くと思います。
2011年11月度の首都圏成約平均平米単価は、在庫平均平米単価の81.7%と売り出し価格と成約価格の乖離は、大きくなっています。売り手と買い手の折り合いがつき始めるのは、もう少し先かも知れません。
次のページでは、制度面などの購入環境について紹介します。